パーキンソン病は脳の病気であり典型的な症状として、手足のふるえ、筋肉のこわばり、動作が緩慢になり、一定以上傾くと元に戻れなくなる姿勢保持障害という4つが現れます。
この他の症状として、排尿障害、便秘、気分の落ち込み、うつ症状などが現れることもあります。
手足のふるえや筋肉のこわばりは最初は片側からはじまり、進行してくると両側に現れます。
ふるえは、大体一秒間に4~6回くらいのゆっくりしたものです。
パーキンソン病のふるえは特有なもので、安静にしているときにはふるえが強くなるが、何かしようとすると止まる性質があります。
パーキンソン病患者が立ち上がった姿は、ひじと膝がやや曲がった形の特徴的な姿となります。
病状が進行すると、歩き始めようとしても中々最初の一歩が踏み出せないすくみ足(寡動症)となり、歩幅も小刻みとなります。
ようやく歩き出すと、今度は前のめりとなり、トットットという感じで転倒するまで止まれないような突進状態となります。
これらの段階を過ぎて病状が進行すると寝たきり状態になってしまいます。
パーキンソン病には、下に示すような典型的な四つの運動系の症状があります。
ほとんどの患者さんはこれらのいくつか、あるいは全部の症状を併せもっているのが普通です。
振戦とは震えのことですが、パーキンソン病による震えは、静止時振戦といって、静かにじっとしているときに震える特徴があります。
・震えの症状には身体の左右に差が見られ、左右のどちらかの手か足から始まることが多いです。手足だけでなく、顎が震えることもあります。
・震えの周期は比較的ゆっくりで、1秒間に5回くらいのリズムです。
・震えは、何もしないで安静にしているときに起こります。
・身体を動かすと止まりますが、緊張すると酷くなることもあります。
・震えは、睡眠中は治まりますが目覚めるとまた始まります。
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筋固縮とは、筋肉が硬くこわばることで、筋肉がこわばってしまい、普通の動作がうまくできなくなります。
握力や手足の筋力に異常はみられません。
・全身の筋肉が硬くこわばって、動きが悪くなります。
・手指や手首、ひじ、足などの曲げ伸ばしがやりにくくなります。
・首や肩をまわす動作ができなくなります。
・力を抜いてリラックスすることが困難になります。
・他の人が、患者の関節を曲げたり伸ばしたりすると、カクカクという抵抗感を示します。
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動作緩慢とは、動作がゆっくりになり、動きも小さくなることです。途中で動きがとまったりする寡動症状がでます。
病気が進行すると、ほとんど動作がなくなり、長い時間全く動かない無動症状を呈するようになります。
・生活上の動き全体がゆっくりとなります。
・歩こうと思っても足が出にくく歩きにくくなる歩行障害がでます。
・顔や口の動き、瞬きも少なく表情に乏しい仮面様顔貌になります。
・話し方に抑揚がなくなります。
・文字を書こうとすると、だんだん小さい文字になってしまいます。
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姿勢反射とは、身体のバランスが崩れそうになったとき、倒れないようにする反射作用のことをいいます。
パーキンソン病では、この反射機能が障害され、身体のバランスがとれず転びやすくなります。止まろうと思っても止まれなくなったりします。
・膝を曲げて前かがみに歩くようになります。
・最初の一歩が踏み出しにくくなります。
・小さな歩幅でよちよち歩く歩行障害がでてきます。
・一旦、歩き出すとなかなか止まれなくなります。
・倒れそうになるとそのまま倒れてしまいます。
・方向転換しようとするとき、容易に転倒してしまいます。
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パーキンソン病の症状には、このような運動系の症状だけでなく、自律神経系の症状や精神系の症状も現われます。
自律神経系の症状として、便秘や脂顔、立ちくらみ、よだれ、排尿障害、発汗障害などの症状がでてきます。
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精神系症状として、抑うつ、幻覚・妄想、認知障害(痴呆)などが現われることがあります。
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パーキンソン病の進行段階・進行経過は個人差がありますが、一般に進行は緩やかです。
半数ほどの患者では、発病後10年ほどして多少の介助が必要になるくらいの進行速度です。
パーキンソン病の進行段階では、ヤールの5段階病期と呼ばれる分類が使われます。
Ⅲ期以上の段階では、医療費の公費負担制度があります。症状の程度や年収などにより自己負担率が変わりますが、管轄の保健所で申請することができます。
ごく軽い症状で体の片側のみに現れている。
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症状が体の両側に及んでいるが、特別な歩行障害はなく、普通の生活が可能。
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歩行時の方向転換が不安定となり、姿勢反射障害、突進現象歩行障害が現れている。多少の仕事は可能。
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介助なしでも少しは歩けるが、介助歩行が必要。日常動作では何らかの介助を必要とする状態。
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日常動作に全面的な介助が必要となり、移動には車椅子が必要で、家庭では寝たきり状態になっている。
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