痩せ症の症状は、「精神疾患型痩せ症」と「肉体疾患型痩せ症」および「体質型痩せ症」とでは、その症状も異なりますので、ここではそれらを区別してご説明します。
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精神疾患型痩せ症の典型的なものは、「摂食障害型」あるいは「拒食症」とも呼ばれる痩せ症です。この型の痩せ症では、ダイエット願望が余りにも強く、本当は食欲があるのに食物を摂取することを嫌悪したり拒み続けたりします。拒食症の人は、ダイエットにこだわるあまり、極端な痩せ願望を抱くのです。
もう十分に痩せているのに、自分はまだ太りすぎていると信じ込んだり、顔や下腿など身体の特定部分がひどく膨らんでいると感じたりします。このため、体重の増加に対する極端な嫌悪感、恐怖感を抱き、ますます食事を摂らなくなるのです。
結局、拒食症になると健康を維持する為の適切な食事を摂ることが出来ず、食べても嘔吐したり、下剤で出してしまうといった症状が見られます。
このような症状は、三十歳以下の若い女性に多く発症します。女性タレント並みのスマートな体形に憧れてのダイエットから始まることが多い病気です。
外見上、拒食症の人はとても活発で、仕事も学業も普通以上にこなします。しかし、継続的な栄養不足のために、心臓や他の臓器、血液などには多くの障害が現れ、最終的には全身がボロボロの状態になってしまいます。
拒食症になると、持続的な摂食拒否、摂食嫌悪などの結果、高度の痩せ、夜の不眠、低体温、胃もたれ、便秘、手足のむくみ、低血圧、女性の無月経など多くの症状が認められるようになります。
この状態では、十分な栄養分が摂取できないために、生命の危険に晒され、極端な場合には餓死してしまいます。信じがたいことですが、拒食症での餓死率は4~5%にも及びます。
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何らかの身体疾患が原因で痩せ症の症状が出る場合がありますが、その典型的なものは「糖尿病」と「バセドウ病」の二つです。これらの場合の症状は次のようなものとなります。
糖尿病が本格的な発病段階になると、食事を摂取してもインシュリンの量が不足するために消化吸収がうまくできません。
そのために食物を食べても栄養として活用することができず、極端に痩せが進行してしまいます。
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バセドウ病は、甲状腺の働きが異常に高まり、身体の新陳代謝を休むことなく加速し続けます。
このため、常にジョギングしているような亢進状態が続き、エネルギーを急激に消費してしまうので、太ることができません。
バセドウ病では、脈拍が早くなり、動悸が強くなり、汗をかき、微熱がでるようになります。
そして特徴的なのが異常な食欲があるのに、体重が減少します。精神的にも不安定でイライラや不眠にも悩まされます。
この病気が進行すると、顔つきもきつくなり、眼球突出という目が飛び出すような特有な症状も現れます。女性の方が男性の3~5倍くらい多い確率で発症します。
この病気は、検査で容易に診断できますので、疑いのある人はすぐに医師の診断を受けることが大切です。バセドウ病であれば、薬物療法で確実に改善もできます。
甲状腺機能に関連する詳しい説明は「バセドウ病」を参照して下さい。
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体質的な痩せ症の人では、食事も普通に摂取しカロリーも十分摂っているのに太れないという悩みがつきまといます。
いろいろな身体の検査も受けるのですが、原因が分からないことがほとんどです。
このような人では、しばしば慢性的で原因不明の下痢をすることがあります。牛乳が苦手で、牛乳を飲むとすぐに下痢をします。
プリンなどミルク入りの食品やお菓子類を食べるとすぐに気分が悪くなり、見るのも嫌と思うようになります。また、胃下垂気味の人が多いようです。
体質型の痩せ症でも、しばしば摂食障害での痩せ症と共通的な現象が見られます。
ダイエット願望型の人では、極端に拒食が続くと今度は反動で過食に転じてしまい、大食してそれをすぐに吐き出してしまいますが、体質型の人では、太りたいという焦りがつのり、何でも大量に食べようとします。
そして、やはり食べ過ぎて吐き出してしまうのです。
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