数十年前までは、淋菌性尿道炎の治療には「ペニシリン」が効果的に用いられましたが、近年になって、このペニシリンに耐性を示しまったく効果のでない「ペニシリン耐性菌」の淋菌が出現したことで、状況が変わってきました。
ペニシリン耐性菌は、βラクターゼという物質を産生してペニシリンを分解することで耐性を獲得します。
その後、このような「ペニシラーゼ産生菌」に効果的なペニシリン系薬剤の他、「セフェム系」「ニューキノロン系」「アミノグリコシド系」薬剤などが開発されました。
現在では、これらの新しい抗生物質が淋菌性尿道炎の治療に用いられています。いずれまた、耐性のある淋菌が出現する可能性はありますが、現状では効果抜群の医薬が多数存在します。
「ロセフィン」は、一般名「セフトリアキソンナトリウム(CTRX)」という医薬で、「日本ロシュ」というメーカーが製造しています。
セフェム系抗生物質で、扁桃炎、咽頭炎、気管支炎、肺炎、中耳炎、尿路感染症などによく使われる感染症治療薬です。
以前に抗生物質でアレルギー反応を起こした経験のある人は使用することができません。点滴中にアレルギーを疑われるような、不快感、口の異常感、咳こみ、ゼーゼーという喘鳴などが現れるときは、直ちに投与を中止しなければなりません。
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「トロビシン」は、一般名「塩酸スペクチノマイシン」という医薬で、「ファイザー」というメーカーで製造しています。
スペクチノマイシン製剤という病原生物に対する抗生物質で、淋菌感染症の治療薬です。注射液の性状は懸濁液であり注射針が太いので臀部に筋肉注射します。
不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴等のアナフィラキシー症状が出ることがあります。また、稀に、重大な副作用として、ショックを起こすことがあります。
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「オーグメンチン」は、一般名「アモキシシリン・ クラブラン酸カリウム」という医薬で「グラクソ」というメーカーで製造しています。
淋菌感染症など細菌が原因のさまざまな感染症に効果があり、日本でも幅広く使用されています。アモキシシリン耐性のブドウ球菌やグラム陰性桿菌にも抗菌力を持ちます。
オーグメンチンの主な副作用は、吐き気や胃痛、下痢などの胃腸症状などです。また、抗生物質にショック症状の経験者などの使用は禁忌です。
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淋菌性尿道炎の患者の20~30%は、クラミジア性尿道炎が合併しているとされ、上記のような治療で一週間以上しても治癒しない場合には、詳細な検査・治療が必要となります。
これらも含め、3~7日の治療で効果が不十分なら、直ちに異なった系統の抗菌薬に変更する必要があります。
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