骨粗しょう症の検査・診断は「問診」と「骨密度測定」「X線撮影」などで行われます。
骨粗しょう症の通常的診断は「骨密度測定」および「X線撮影」の結果から診断基準に基づいて行われます。
骨の新陳代謝の状態を血液検査や尿検査で調べる骨代謝マーカーという検査がありますが、骨粗しょう症では、血液や尿の所見で直接的な異常は現れてきません。
しかし、結果的には骨粗しょう症になっていると診断される場合でも、その原因を探るためには、他の病気が潜んでいないかどうかなど、他の疾患との鑑別が必要なこともあるため、血液や尿検査もあわせて行います。
尚、骨塩量測定は4か月に1回なら、保険給付の対象となっています。
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骨粗しょう症の診断は、問診と骨密度測定結果、X線撮影結果により行われますが、診断基準は下記の表のようになります。
骨粗しょう症は、主に骨密度と背骨のX線撮影で診断されます。
骨密度が基準より大幅に低ければ骨粗しょう症と診断されますが、そうでなくても圧迫骨折があれば、それだけで骨粗しょう症と診断されます。
結局、骨粗しょう症の診断基準は、次の二つの場合に分けて定められています。
・X線写真上、脊椎骨折を認める場合
・X線写真上、脊椎骨折を認めない場合
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骨量減少(骨萎縮度Ⅰ度以上)、あるいは、腰椎骨塩量値が20~44歳の若年成人平均値(YAM:Young Adult Mean)の80%以下で非外傷性椎体骨折のある症例は、骨粗しょう症とする。
X線写真上での像の現れ方で、骨萎縮度というものが定義されています。
正常 |
骨粗鬆化なしの正常で骨萎縮なしの状態です。縦・横の骨梁が密であるため、骨梁構造を認識することができません。
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骨萎縮度 I度 |
骨粗鬆化の疑いがある状態です。縦の骨梁が目立つ、一般に縦の骨梁は細くみえるが、いまだ密に配列していて、椎体終板も目立ってきます。
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骨萎縮度 Ⅱ度 |
縦の骨梁が粗となった状態です。縦の骨梁は太くみえ、配列が粗となり、椎体終板も淡くなります。
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骨萎縮度 Ⅲ度 |
縦の骨梁も不明瞭となった状態です。全体として椎体陰影はぼやけた感じを示し、椎間板陰影との差が減少します。
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骨塩量値により「正常」「骨量減少」および「骨粗鬆症」の3種類に診断します。ここでいう「YAM」とは、腰椎骨塩量値の若年成人平均値を指しています。
但し、他の疾患(喘息、皮膚炎など)の治療のために、副腎皮質ステロイドホルモン剤を服用している患者の場合は、骨塩量値がYAMの80%未満となれば、骨粗しょう症と診断されます。
正常 |
骨塩量値がYAMの80%以上
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骨量減少 |
骨塩量値がYAMの80~70%
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骨粗しょう症 |
骨塩量値がYAMの70%未満
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骨粗しょう症の診断では問診が重要な役割を果たします。骨粗しょう症を診断する上で問診により確認される事項は次のようになります。
既往症 |
現在、どのような症状があるか、どの部分にどのような疼痛があるかなど、過去に受けた治療などを確認します。
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家族暦 |
骨粗しょう症の家族がいないかも診断上での重要な参考事項になります。
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使用医薬 |
過去および今現在、どのような薬を服用しているか、特に副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用しているかが確認されます。
副腎皮質ステロイド薬は、関節リウマチや皮膚病、喘息、神経の病気などで特効的に効果のある医薬ですが、一方で長期連用すると重篤な副作用が現れる医薬です。
骨粗しょう症関連では骨が弱くなるという副作用が現れます。
ステロイド薬を服用している人の骨量検査では、服用していない人に対して診断基準が10%厳しく設定されています。
通常の診断基準であれば、標準に対して70%未満の骨量にまで減少していると骨粗しょう症と診断されますが、ステロイド薬を服用している人では、80%未満に減少していれば、骨粗しょう症と診断されます。
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骨密度測定法には「MD法」「SXA法」「腰椎DXA法」「pQCT法」および「QUS法」などがあり、それぞれに特徴があります。
MD法 |
手のひらのX線写真を撮り、人差し指の付け根の骨(第二中手骨)の濃度を、標準とするアルミのスケールと比較して骨塩量を測定する方法です。
この方法は検査が簡便で短時間で済むので健康診断でよく使用される方法です。
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SXA法 |
腕の橈骨やかかとの踵骨などにX線を照射して、組織の吸収率から骨密度を測定する方法です。この方法は、最近ではあまり使用されていません。
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腰椎DXA法 |
腰椎DXA法(Dual Energy X-ray Absorptiometry:二重エネルギーX線吸収法)は、エネルギー強度の異なる二つのX線ビームを用いて、骨と軟部組織を区別して、骨塩量(単位:g)を測定する方法です。
測定部位は腰椎(正面、側面)、大腿骨、前腕骨、また任意の部位の測定も可能で応用範囲が広く、脊椎の骨塩量測定には欠かせない機器となっています。
その正確さ・簡便さから広く普及しつつある機器です。
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pQCT法 |
pQCT法(Peripheral Quantitative Computed Tomograghy:末梢型定量的コンピューター断層法)は、前腕骨エックス線によるコンピュータ断層撮影法で、本来の密度である体積密度を測定できる方法です。
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QUS法 |
QUS法(Quantitative Ultra Sound:定量的超音波法)は、踵骨(かかと)を水の中につけて超音波を当て、かかとの骨の状態を測定する方法です。
QUS法では、かかとに超音波を通過させ、超音波の強さがどの程度減衰したかにより、骨量を計ります。
特徴は、X線ではなく超音波を使う測定法なので、場所も選ばず安全な方法であり、妊婦の測定も可能です。しかし、測定精度はそれほど高くはありません。
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X線撮影での検査は、脊椎や腰部の骨を撮影して行われます。X線撮影によって脊椎骨折があれば、それだけで骨粗しょう症と診断されます。
しかし、腰部や背中に痛みがあり、骨密度が低くかったり、背中が丸くなる「円背」となったりするのは、骨粗しょう症だけが原因ではないため、他の疾患によって椎体変形や骨折が起きていないかなどの鑑別診断も行われます。
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