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[ Physical Illness ]

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〔アデノイド肥大〕

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この疾患の概要です

 喉の内部・周辺には多くのリンパ組織があります。

 アデノイドもそのひとつで、正式には「咽頭扁桃」と呼ばれる組織です。

 アデノイドは、鼻の奥の方(裏側)にあり、口蓋垂(こうがいすい:俗称のどちんこ)」の裏側にあって、普段は表からは見えませんが大きく口を開くとごく一部が見える人もいます。



アデノイド

 咽頭扁桃は、リンパ組織であり、口や鼻から体内に侵入しようとするいろいろな病原体の侵入を防ぐ役目をしています。



 アデノイドは、生理的に乳児期以降に大きくなりはじめ、幼児期から小児期に最大の大きさとなり、思春期以降は縮小します。

 アデノイドが大きくなるのは、免疫システムが未熟な乳幼児・小児が、徐々に免疫を獲得するために活発に活動するためです。

 しかし、このアデノイドの肥大が原因で、鼻や耳、喉などに慢性の炎症を引き起こすことがあり〔アデノイド肥大〕と呼んでいます。アデノイド肥大は〔咽頭扁桃増殖症〕とか〔咽頭扁桃肥大〕あるいは単に〔アデノイド〕とも呼ばれています。


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Overview
〔アデノイド肥大という病気〕

 口の中には、リンパ組織であるいくつかの扁桃があり、アデノイドもそのひとつで正式名は「咽頭扁桃」と呼ばれます。

 アデノイドは、喉の奥の上部、のどちんこの後ろ側で普段は見えにくい位置にあるリンパ組織です。

 人は乳幼児期には免疫システムが未熟なので、口や鼻から侵入する病原体に対する免疫を早く勝ち取るために、生理的な作用として各扁桃組織は乳幼児期~小児期に大きくなり活発に作用します。

 アデノイドは4~6歳ころ最大となり、10歳を過ぎると急速に退縮し、思春期以降にはほぼ消滅します。

 アデノイドが大きくなっただけであれば、病気とはいえないません。しかし、アデノイドの肥大が著しくなると鼻、耳、喉に異常を起こし、更に全身的な症状が出現してきます。

 これがアデノイド肥大と呼ばれる幼児期から小児期にかけての疾患です。アデノイド肥大の医学的な正式名は「咽頭扁桃の増殖肥大によりなんらかの障害を来たす場合」という風になっています。

 アデノイドは鼻の後ろ側に位置するために肥大すると、鼻の奥が詰まったような状態になり、鼻呼吸が困難になり常に口呼吸をするようになります。

 この他、鼻、耳、喉、全身的な異常など多くの症状を引き起こすようになります。


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Symptom
〔アデノイド肥大の症状〕

 アデノイドが肥大することで、口腔内およびそれと接続されている鼻や耳などに多くの障害を引き起こします。典型的な症状には次のようなものがあります。

アデノイド肥大の症状
鼻症状

 アデノイドは鼻の奥の後ろ側にあるため、肥大すると、鼻づまりのようになり、鼻での呼吸が困難となります。このため、常に口呼吸をするようになったり、小児なのにいびきをかき、時には「睡眠時無呼吸症候群」になることがあります。「副鼻腔炎(蓄膿症)」の原因ともなります。

耳症状

 耳からの耳管は、口の中に接続されています。アデノイドは左右耳管のちょうどまんなかにあるので、肥大したアデノイドが左右の耳管の開口部を塞ぐ「耳管狭窄」になると、「急性中耳炎」を繰り返したり、「滲出性中耳炎」を引き起こして「難聴」の原因ともなります。

喉症状

 常に口呼吸をするために、食事摂取がうまくできなくなったり、「扁桃炎」や「気管支炎」など上気道の炎症を起こしやすくなります。

全身的症状

 鼻呼吸が慢性的に障害される「喚起障害」になることから、「アデノイド顔貌」と呼ばれる、口をボーっと開いたままの独特な顔つきとなり、歯並びにも影響して、身体の発達障害の原因ともなります。

 呼吸困難が慢性化することにより、空気が容易に吸い込めないために、胸郭に変形を生じてしまう「鳩胸」や「漏斗胸」の身体の発育異常の症状を呈してきます。

 睡眠が浅くなるために精神発育上にも多大な影響を及ぼし「夜尿症」「夜驚症」「頭痛」などの他「注意力散漫」などの障害を引き起こすようになります。

 尚、高い発熱が続きなかなか下がらないときは、「アデノイド周囲炎」になっていることがあります。



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cause
〔アデノイド肥大の原因〕

 新生児から乳幼児期にアデノイドが大きくなるのは、人体の免疫作用を強めるために起こる生理的現象であり、それ自体は異常なことではありません。

 アデノイドは、5歳前後で最大の大きさとなり、通常、10歳以降には急速に退縮した消滅します。

 しかし、アデノイドが異常に大きくなって、喉の奥の方に飛び出して見えるほどになると、それにより多くの副作用を起こすことになります。

 何故、このように大きく肥大するのかの原因はよく分かりませんが、基本的には免疫システム構築のための過程であると考えられます。


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Diagnosis
〔アデノイド肥大の診断〕

 アデノイドが肥大しているかどうかは、上咽頭ファイバースコープや後鼻鏡検査で視認します。より詳しくは側面からのレントゲン検査により、アデノイド肥大の程度を診断します。


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treatment
〔アデノイド肥大の治療方針〕

 アデノイドが肥大するのは、乳幼児などが成長し、しっかりした免疫システムを獲得するための一種の生理的現象なので、肥大があっても問題となるような障害がないなら特別な治療は必要ありません。

 年齢が大きくなるにつれて、アデノイドの肥大は着実に退縮し消滅しますので、呼吸や飲食に特別な支障がないときは、様子を見て自然に小さくなるのを待てばよいです。

 また、風邪などの原因により、一時的に肥大がひどくなったときは、炎症を抑える薬を飲み様子をみます。

 しかし、呼吸困難が出たり、頻繁に中耳炎を引き起こしたり、睡眠時無呼吸症候群や鳩胸などの症状があるなら、外科手術によりアデノイドを切除する必要があります。

 以前は、局所麻酔で手術することが多かったのですが、最近では多くの場合、全身麻酔で行います。万一の場合、気道確保や血管確保の確実を期すためです。

 手術ではアデノイド切除刀という器械を挿入してアデノイドを切除します。

 手術後は、切除の創は自然止血で止まります。しかし、創は喉の方に開放しているため、万が一、異常出血が起こることも想定し、医師の管理下で手術後1週間ほど入院します。

 尚、近年では、内視鏡を鼻経由で挿入する方法やレーザー照射法などの手術法もあります。

BREAK
ちょっと一息

 随分、昔のことになるのですが、私は子供の頃、アデノイドの切除手術を受けました。

 当時、鼻が詰まり、耳垂れが出たり、難聴があって、母親から耳鼻咽喉科というところに連れてゆかれ、手術を受けることになりました。

 当時は、日帰り手術だったので、病院の椅子に座らされ、先ず、口の中に麻酔注射を打たれました。あまりの痛さと怖さで、私は思わず病院から逃げ出して家に帰ってしまいました。

 後日になって、再度、病院に連れて行かれ、手術を受けることになりました。

 また、麻酔注射の痛みで驚き逃げ出そうとしたのですが、今度は医師と看護婦三人かかりで押さえつけられ逃げ出せませんでした。

 それでもどうしても口を閉じて頑張ったのですが、医者から血を止めるからちょっと口を開けなさいと言われ、口を開いたのが運の尽きでした。あえなく、アデノイドを切除されてしまいました。

 アデノイドの切除はなんだかおわんのような丸い形をした、アイスクリームをすくうスプーンの様なものだったと記憶しています。現在のものがどんななのか知らないのですが。

 幼い時代の恐怖の思い出ですが、最近の全身麻酔法ならこんな恐怖も味わう必要がないので安心できるとしみじみ思います。今の子供は幸せです。


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