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[ Physical Illness ]

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〔がんの病気〕

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良性腫瘍と悪性腫瘍
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〔がんの病気〕

 〔がん〕は、〔悪性腫瘍〕〔悪性新生物〕などとも呼ばれる腫瘍で、遺伝子の突然変異によって発生し、他の組織に侵入(浸潤)したり、転移したりして増殖し生命を脅かす存在です。

 〔がん〕の発症には、遺伝的体質に起因する部分もありますが、喫煙や食習慣などの生活習慣が大きく関与していることが分かっています。



 人間の身体を構成する細胞の数は60兆個ほどありますが、これらは一定の期間を過ぎるとアポトーシスと呼ばれる細胞死をし、同時に分裂・増殖して新たな細胞の生成を繰り返すことで新陳代謝しています。

 本来、分裂・成長により生まれる新しい細胞は、老化・死滅し欠損した古い細胞に入れ替わる分だけ新たに生成されて、置き換わって生体を維持しています。

 ところが、遺伝子に突然変異が生じると、このパターンに乱れがでてきます。

 死滅すべき細胞が死滅せず、必要とされていない細胞が細胞分裂し増殖してしまいます。

 このようにして生まれた過剰な細胞は、組織の塊を形成して腫瘍あるいは新生物となります。

 腫瘍にはその広がり方、大きくなり方で二つの種類があります。

 腫瘍自体が大きく成長しても他の身体組織に湿潤したり転移したりしないものは、腫瘍が大きくなることで身体各部に影響が出るとしても、その腫瘍を除去することができれば特に大きな問題とはなりません。

 このような腫瘍を「良性腫瘍」と呼んでいます。

 一方、腫瘍の中で他の組織に湿潤し転移すればそれは〔がん〕であり、それはやがて生命を脅かす存在となります。

 このような腫瘍は「悪性腫瘍」であり、一般に〔がん〕と呼んでいます。

 〔がん〕の発生原因には、外部要因として食生活・喫煙・放射線・紫外線・ウイルス・大気汚染などがあり、内部要因として年齢・遺伝的要因・免疫異常・ホルモン分泌異常などがあります。

 これらの原因や危険因子を完全に除去することは不可能ですが、悪い生活習慣を改めることで改善することはできます。


がんの部位別死亡率
〔日本でのがんの種類別死亡率〕

 2010年での日本における、がんの種類別の死亡率を示します。

 下表から分かるように、肺がんでの死亡率が非常に高く、特に男性では深刻な状況です。

 次いで、胃がんや大腸がん、肝臓がんが依然として高い率を示していて、全体としては消化器系のがんが多くなっています。

 男性では前立腺がんの比率も高いです。また、女性では乳がんや子宮がん、卵巣がんなど女性特有のがんによる死亡率が高い状態です。
(出典:がん研究振興財団「がんの統計'11」)


がんの種類別死亡率(%)

がんの種類 男性 女性
食道がん  4.7%  1.3%
胃がん 15.6% 12.1%
大腸がん(結腸がん)  7.1% 10.6%
大腸がん(直腸がん)  4.3%  3.6%
肝臓がん 10.2%  7.9%
胆嚢がん・胆管がん  4.0%  6.4%
膵臓がん  6.9%  9.5%
肺がん 23.8% 13.7%
前立腺がん  5.1%  ---
乳がん  ---  8.8%
子宮がん  ---  4.2%
卵巣がん  ---  3.3%
悪性リンパ腫  2.7%  3.2%
白血病  2.3%  2.3%
その他のがん 13.3% 12.9%
〔合計〕 100% 100%

がんの生存率
〔がんを治療後の生存率〕

 下の表は「がんの統計2005(国立がんセンター発表)」による、がんの進行度と5年生存率との関係を示しています。

 これによると、多くのがんは早期発見して手術などの治療を行えば、5年生存率は高いですが、臓器内浸潤の段階になると相当悪くなり、進行がんの状態になると極めて悪い状態になることが分かります。

 現実的には、がんによる死亡率はこの20年間でほとんど改善されておりません。

 逆にいえば、現在の治療法だけでは、がんを克服することは非常に困難だということになります。


がんの進行度と5年生存率

部位 A:早期がん B:進行がん
(遠隔転移あり)
腫瘍が原発巣のみ 臓器内浸潤のみ
胃がん 94.6% 39.6%  3.1%
結腸がん 96.8% 64.7%  8.0%
直腸がん 92.9% 55.5%  8.2%
肝臓がん 29.5%  7.8%  3.7%
肺がん 65.5% 15.6%  2.4%
乳房がん 97.0% 78.2% 26.4%
子宮がん 93.2% 53.7% 14.1%

こんな病気です
〔脳腫瘍〕


 〔脳腫瘍〕は、頭蓋内組織に発生する〔新生物腫瘍〕や異常細胞が増殖する病気です。

 その発生の由来から大きく分類すると、脳や脳の周辺部位から発生する〔原発性脳腫瘍〕と、脳以外の他の臓器のがんが転移してきて起こる〔転移性脳腫瘍〕の二種類になります。

 通常、〔脳腫瘍〕が発生すると、脳内の神経などが圧迫されることで、頭痛や悪心、吐き気、嘔吐、目の霞み、痙攣などの初期症状を呈するようになります。

〔肺がん〕


 〔肺がん〕は、肺の気管、気管支、肺胞細胞が正常な機能を失い無秩序に増殖する悪性腫瘍の総称です。

 いわゆる〔肺がん〕には、〔原発性肺がん〕と〔転移性肺がん〕とがあります。

 通常は単に〔肺がん〕といえば、〔原発性肺がん〕を指しています。

 〔肺がん〕は、他の臓器のがんに比較して非常に治療しにくいがんです。

〔胃がん〕


 〔胃がん〕は、胃に生じる悪性腫瘍です。

 〔胃がん〕には、胃粘膜の上皮に発生する〔胃癌〕と、上皮以外の組織から発生した〔胃悪性リンパ腫〕などのがんがあります。

 〔胃がん〕が、胃の粘膜、粘膜下層にとどまっていれば早期胃がんと呼ばれ、無症状であり、X線検査や内視鏡検査で早期に発見されて早期治療を施せば完治できます。

〔大腸がん〕


〔大腸がん〕は、盲腸、結腸、直腸などの大腸に発生する上皮性のがんです。

 また、大腸がんには、肛門管に発生するがんも含めることがあります。

 これらは上皮に発生するがんなので〔大腸癌〕とも呼ばれます。また、〔大腸癌〕は〔直腸がん〕と呼ばれることもあります。

〔乳がん〕


 女性の乳房は、鎖骨の下あたりにあって多くの組織からできています。

 乳房の主要部分は、母乳を作り溜める「乳腺小葉」「腺房」「乳管」の集まりである「乳腺」や「乳頭」および「乳輪」などから構成され、妊娠するとこれらの部位が活性化してお乳を作り赤ちゃんに飲ませるようになります。

 〔乳がん〕は、女性が母乳をつくるところである「乳腺」にできる悪性腫瘍です。

 〔乳がん〕の約90%は〔乳管がん〕と呼ばれるもので、次いで5~10%の〔乳腺小葉がん〕があります。その他にもごく僅か特殊な乳がんがあります。

 〔乳がん〕には、他のがんのようなはっきりした症状はほとんどなく、通常は乳房のしこりで発見されます。

〔前立腺がん〕


 〔前立腺がん〕は、男性の膀胱と尿道のつなぎ目にある前立腺にできる悪性腫瘍です。

 〔前立腺がん〕には、多くの種類があり、大部分は〔前立腺腺癌〕と呼ばれるもので、通常は〔前立腺がん〕といえば、この〔前立腺腺癌〕を指しています。

 〔前立腺がん〕は、初期にはほとんど自覚症状はなく、血液検査でのPSA(前立腺特異抗原)の高値により検知されることが多いです。

 進行すると頻尿、残尿感、排尿困難、圧迫感などの症状が現れ、やがてリンパ節や骨、実質臓器に転移してしまいます。

 これらの症状は〔前立腺肥大〕と同様なものなので、詳しい診断によりがんかどうかの識別(区別)が必要となります。

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