これら二種類の細胞は、同じ精巣内にありながら、全く異なる機能を果たしています。
ライデイヒ細胞からも精母細胞からも腫瘍は発生し、それらは〔精巣腫瘍〕あるいは〔睾丸腫瘍〕と呼ばれています。
腫瘍の大部分は、精母細胞から発生するため〔胚細胞腫瘍〕とも呼ばれます。
精巣腫瘍の90%以上は、悪性腫瘍であり、良性腫瘍は僅かです。
精母細胞は、元の自己細胞とは異なる細胞や組織に分裂する「多分化能」を有するためいくつかの組織型があり、そこから発生する悪性腫瘍の病理組織型にもいくつかの種類があります。
病理組織型による胚細胞腫瘍の種類には、次の五種類があります。
・精上皮腫
・胎児性がん
・卵黄嚢腫
・絨毛がん
・奇形腫
これらの腫瘍は、その治療方針を決定する上で重要な分類として、〔セミノーマ〕と〔非セミノーマ〕という二つのグループに分類されています。
セミノーマ |
化学療法(抗がん剤治療)と放射線療法がともに有効な悪性腫瘍である場合。
・精上皮腫
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非セミノーマ |
化学療法は有効ですが、放射線療法は有効でない悪性腫瘍で、次の内、少なくとも1種類の悪性腫瘍である場合。
・胎児性がん
・卵黄嚢腫(らんおうのうしゅ)
・絨毛がん
・奇形腫
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精巣腫瘍での死亡者数は、がん全体でのそれの1%未満で少ないです。この腫瘍の好発年代は20歳代後半から30歳代で、全体の3分の2は、40歳未満です。
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