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[ Physical Illness ]

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〔つわり・妊娠悪阻〕

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この疾患の概要です

 女性が妊娠して5~6週間すると、身体内に妊娠という特殊な状況は生じたために〔つわり〕と呼ばれる症状が発生するのが普通です。

 吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状が現れ、食べ物の好みが急激に変化し、無性にすっぱいものが食べたくなります。

 精神的に不安定で気分が変わりやすくなるのも特徴です。



 一般的に、〔つわり〕の症状は経産婦よりも初産婦や多胎妊娠の方が重くなりやすい傾向があります。

 とはいえ、個人差が大きく、ほとんどつわりのない人がいる一方で非常に重い症状を伴う人たちもいます。

 〔つわり〕の症状がとても重症で、生理的な範囲を超え、嘔吐を繰り返し治療が必要な状態を〔妊娠悪阻(にんしんおそ)〕といいます。

 妊娠悪阻の典型的な症状は次のようなもので、重症になると母子ともに危険に晒されることになります。

 ・ほとんど何も食べられない。
 ・体重が5kgも減少した。
 ・毎日、5回以上も吐いてしまう。



 〔妊娠悪阻〕で一番深刻な症状は、何も食べられないのに吐いてばかりいることで起こる脱水症状です。

 入院して治療が必要な〔妊娠悪阻〕の割合は、妊婦全体の1%ほどとされています。


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Overview
〔つわり・妊娠悪阻という病気〕

 通常、妊娠して5~6週間くらいすると、胃の不快感や吐き気をうったえるようになります。

 この現象は「つわり」と呼ばれ、ほとんどの女性に共通して現れます。

 つわりは、早い人では妊娠4週間目に始まり、通常10~12週ころにはおさまりますが、遅い人では16週くらいまで続く人もいて、個人差があります。  大抵の人では、一番辛い時期は妊娠7N~9週ころですが、個人差があります。

 つわりの症状は人により程度の差はありますが、ほとんどの妊婦さんが体験します。  主な症状は、ムカムカとした悪心、吐き気、嘔吐、倦怠感、頭痛などです。

 また、つわりが始まると、食事の好みが大きく変化し無性に酸っぱいものが欲しくなります。

 つわりの症状が非常に重くなり治療を必要とする状態を「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼びます。

 食事がほとんど食べられず、吐いてばかりいて、体重が減少します。


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Symptom
〔つわり・妊娠悪阻の症状〕

 つわりの症状は、胃の不快感と吐き気などで、この症状は程度の差こそあれほとんどの妊娠女性に現れます。つわれが一番辛い時期は、妊娠7N~9週くらいのときです。

 つわりになると、身体がだるくなり、主に吐き気や嘔吐、下痢などの消化器系症状が現れますが、頭痛が起こることもあります。つわりの症状が強くでる人では、飲食物が少量しか摂れなくなってしまいます。

 飲食物が減少してくると、人間の身体は脂肪分を分解してエネルギーに変換するようになり、分解副産物として尿中にケトン体が出現するようになります。また、水分の摂取も思うようにできないことから、身体は脱水状態になり尿量が減少します。

 普通であれば、つわりは時期が来れば自然に治るものなのですが、中には症状が非常に重く、強い症状のために飲食などを全くできないのに、嘔吐を繰り返すようになる女性もいます。このようにつわりの症状が、生理的限界を超えて悪くなる状態が「妊娠悪阻」で、治療が必要になります。

 妊娠悪阻の症状はその重症度に応じて「第1期」~「第3期」に分類されています。

 ・第1期:頑固な粗悪・嘔吐を繰返す状態

 ・第2期:嘔吐に加え、代謝異常による中毒症状がでてくる状態

 ・第3期:脳神経症状なども出てくる状態

妊娠悪阻の段階
第1期  第1期は、頑固な悪心・嘔吐を繰返す時期で次のような諸症状が現れます。

 ・食事をしてもしなくても胸が苦しく嘔吐を繰返す。

 ・胃液や胆汁、血液の混じったものを吐く。

 ・脱水症状を起し、皮膚が乾燥してくる。

 ・全身がだるくなる。

 ・口の渇きがひどくなる。

 ・便秘がひどくなる。

 ・体重が減る。

 ・尿の量が減り、胃腸の働きが弱まってくる。

第2期  第2期は、嘔吐吐に加え、代謝異常による中毒症状がでてくる時期です。

 ・嘔吐がますます激しくなり、体重は急激に減少する。

 ・脱水症状が悪化し、口内は乾燥して舌苔や口臭がひどくなる。

 ・脈拍が早くなる。

 ・血圧が低下する。

 ・軽い黄疸と発熱が続く。

第3期  第3期は、脳神経症状が出てくる時期で、場合によっては相当深刻な状況を招きます。

 症状が第3期まで悪化すると、お腹の赤ちゃんは死に直面し、流産となる場合もあります。

 特に深刻な症状は、飲食物を何も摂取できないのに、吐いてばかりいるために、極度の脱水症状になってしまうことです。

 適切な治療を受けなければ、全身の機能が低下してしまい、母体も生命の危機に陥ることがあります。

 以下のような症状がひとつでも現れるときは、緊急に治療が必要です。

 通院だけで済むか入院して治療するか、医師が判断します。

 ・ほとんどなにも食べられない。

 ・フラフラして、起きていられない。

 ・体重が妊娠してない時と比べ5Kg以上減っている。

 ・日常生活に異常をきたし、終日横になって吐いてばかりいる。

 ・頭痛、めまい、耳鳴り、視力障害、幻覚、幻聴などの症状が出現する。

 ・不眠状態からやがてはうわごとを言うようになり、ついに意識混濁、昏睡状態となる。

 ・体温が低下し危険な状態になる。



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cause
〔つわり・妊娠悪阻の原因〕

 現時点、つわりや妊娠悪阻の原因は、簡単にいえば、原因は妊娠そのこと自体に身体が適応できないためだということですが、真の原因はよく分かっておりません。

 つわりや妊娠悪阻を説明する有力な説があるにはあります。

 妊娠すると、子宮内にできる繊毛からヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが多量に分泌され、妊娠10週頃をピークにしてやがて減少していき、12~16週には安定状態に落ち着きます。

 つわりや妊娠悪阻の時期がちょうどこのホルモンが多量に分泌される時期と一致しているため、このホルモンの多量分泌により身体機能が一時的に混乱し、嘔吐中枢を過剰に刺激するのではないかという説です。

 もうひとつ別の説として、一種のアレルギー反応が起きているかも知れないという説もあります。

 人間の身体は外部からの異物・外敵を排除しようとする本能的な働きがあります。

 このアレルギー説では母体が胎児を異物とみなして排除しようとし、いろいろな障害を起こすのではないかというわけです。

 この他にも、自律神経のバランスが崩れることで発症するという考えもあります。

 この場合は、自分を取り巻く環境の変化に追随できなくなっていることが原因となります。

 たとえば、妊娠したら実家に帰ってゆっくり暮らすとつわりや妊娠悪阻が快方に向かったり、入院するとそれだけで安心してよくなったりします。


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Diagnosis
〔つわり・妊娠悪阻の診断〕

 妊娠していることが前庭ですが、診断は比較的容易に行うことができます。

 診断のために、先ずはそれらしい症状が出ていることが確認されます。

 次のような症状があれば、大体診断はつきます。

 ・水分をまったく受け付けない。
 ・体重が5キロ以上も減少した。
 ・1日に5回以上も吐いてしまう。

 つわりや妊娠悪阻が起こると、尿中のケトン体が増加します。

 そのため、尿中のケトン体量を測定すれば、診断が確定できます。

 ここで注意しなくてはいけないのは、肝機能障害などで同様な症状を伴う病気でないことの確認です。

 この鑑別はしっかりしないといけませんが、産科婦人科医師ならつわりや妊娠悪阻の十分確かな診断ができます。


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treatment
〔つわり・妊娠悪阻の治療〕

 つわりや妊娠悪阻を直接的に防止し治療する方法はありません。

 つわりや妊娠悪阻の治療はあくまでも対症療法的なものですが、少しでも母子への負担を軽減するための方法として「安静や食事の工夫」「入院」などの方法があります。

つわり・妊娠悪阻の治療法
安静や食事の工夫  軽いつわりなら治療は必要ないことが多いです。

 しかし、つわりの程度が重かったり、妊娠悪阻に対しては、先ずは楽な姿勢で安静にして、できるだけストレスになることから遠ざかりながら、少しでも症状が治まるのを待ちます。

 つわりや妊娠悪阻で頻繁に吐いてしまうときは、食事も摂れず水分も吐き出してしまうことで脱水症状を起こす心配がありますので、水分摂取に十分気をつけます。

 家庭では難しいかも知れませんが、点滴により水分と糖分、ビタミン類の補給をします。

 通常、吐き気などが強くて飲食物が摂取できなくなってしまいますが、食事は一度に食べなくてもよいので、「食べられるものを、少量ずつ、何度にも分けて食べる」とよいです。

 妊娠初期であれば、胎児はそれほど栄養分を必要としていないので、多少の偏食は大丈夫だといわれています。

入院  家庭では治療が難しいときは、入院して治療を受けます。

 治療の基本は、家庭でも病院でも変わりませんが、入院すれば環境の変化もあり案外落ち着くものです。

 つわりや妊娠悪阻で入院すると、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミン剤などをくわえた点滴が行われます。

 これにより水分補給ができ、しかも悪心や嘔吐などの症状は治まってきます。

 入院は長期間続ける必要はなく、つわりや妊娠悪阻の症状が特に悪くなる時期に1週間ほど入院すれば大丈夫で、ほとんどの方は1週間~10日くらいで退院できます。

その他の工夫  つわりが辛いので家に閉じこもり勝ちになりますが、ときには外出しての気分転換も必要です。

 自宅周辺の緩やかな散歩、お友達との長電話なども気晴らしになります。

 吐き気がして、気持ち悪いときに食事の用意など辛いです。

 自分で料理するのは我慢できなくても、外食ならなんとか食べられるという女性も結構います。夫との外食もいいでしょう。

 尚、妊娠悪阻の症状が特に強い場合に、悪阻そのものを治療する医薬はありませんが、「制吐薬」という吐き気を抑える薬を処方することがあります。

 また、吐き気を抑える漢方薬もあります。これらの医薬の効果は個人差もあり、副作用の心配もあるので、産科婦人医とよく相談されるとよいでしょう。


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