上気道の粘膜である、鼻腔、口腔、咽頭、喉頭にウイルスが感染し、急性な炎症を起こしている状態を風邪症候群と呼びます。
咳、頭痛、発熱、のどの痛み、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、全身の倦怠などの症状が出ます。また、ときとして腹痛や吐き気、下痢などを伴います。
通常、風邪自体は数日で自然治癒しますが、他の病気の引き金になることもあるので注意は必要です。
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いわゆるインフルエンザウイルスに感染してなる病気で、通常の風邪症候群に比べて、強い症状が急激に現れます。
最初は寒気から始まり、高熱を出し、頭痛、咳、くしゃみ、鼻水、のどの痛みなどが出る他、筋肉痛、関節痛、腹痛、下痢などの症状も現れます。通常は、3~4日で症状がおさまり始めます。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型などがあり、適合すればワクチンが有効ですが、ワクチンが適合しなければ効果がありません。
最近、特効薬としてタミフルが使用されますが、奇行を引き起こす事件や事故が多発しており、使用に当たっては慎重さも必要です。
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肺炎は、肺の中で酸素と二酸化炭素を交換する働きをする「肺胞」と呼ばれる部位に発症する炎症をいいます。
肺炎には非常に多くの種類があり、主な原因は細菌やウイルスの感染によります。
肺炎の分類法には、「感染した原因」による分類や肺のどの部位に炎症があるかという「発症部位」による分類、どこで感染したかという「羅感場所による分類」および、普通の抗菌薬が効くかどうかという「定型・非定型分類」とがあります。
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肺結核は、結核菌が気管支の先端にある肺胞に到達し繁殖することで発病します。
初期の症状は、微熱、咳、痰や血痰、発汗、呼吸困難、食欲不振、体重減少などです。結核感染者が咳をすると、付近にいる人に感染します。
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肺の中でガス交換の作用を行う肺胞組織が喫煙などの原因で破壊されたために起こる病気です。
初期段階では運動をすると息切れしたりします。病状が進行してくると、階段を昇るだけでも苦しくなったり、服の着替えもできなくなるなどの症状が出ます。原因は長期にわたる喫煙癖や大気汚染などです。
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肺の中でガス交換の作用を行う肺胞組織が喫煙などの原因で破壊されたために起こる病気です。初期段階では運動をすると息切れしたりします。
病状が進行してくると、階段を昇るだけでも苦しくなったり、服の着替えもできなくなるなどの症状が出ます。原因は長期にわたる喫煙癖や大気汚染などです。
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気管支喘息は、気道に慢性的炎症がおこり、空気の流れを妨げ呼吸困難を招く病気です。発作的な咳のほか、ぜいぜいという呼吸音を伴います。
ちょっとした刺激で、苦しい発作が繰り返されるのが特徴で、呼吸困難から一命を落とすことがしばしばあります。気管支喘息の重症度はステップ1(軽症間欠型)からステップ4(重症持続型)に段階分けされています。
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気管支拡張症は、気管支壁や気管支周囲組織が繊維化し、気管支が非可逆的に拡張をきたす疾患です。
気管支の拡張により気管支の浄化作用が低下し、細菌などが増殖しやすくなり気管支炎や肺炎に進行する危険性が高まります。
湿った咳とともに黄色~緑色の痰が出るのが特徴です。発熱し、血痰や喀血が出現することもあり、ひどくなると呼吸不全になります。
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気管支は線毛の生えた上皮と粘液を分泌する杯細胞とに覆われた空気の流れ道です。
呼吸のために、外界からの空気がここを通過するとき、異物である塵や微生物などのが捕獲され、咳や痰となって口から排出されます。
気管支粘膜に主にウイルスなどの微生物が感染し急性の炎症を起こし、咳や痰の症状が強くなったものを急性気管支炎といいます。
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慢性気管支炎は、痰を伴う咳が2年以上にわたって出ている状態の病気です。これは、急性気管支炎が慢性化した病気とは全く別の病気です。
また、気管支喘息とは異なり、発作的な症状はありません。原因には、加齢、性別、アレルギー体質、喫煙、大気汚染、粉塵の多い職場環境などが影響しています。
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びまん性汎細気管支炎は、細気管支に原因不明の炎症が起こる呼吸器疾患です。
咳や痰が出て、息切れしやすい状態が慢性的に続き、膿性の鼻汁など副鼻腔炎の症状をも伴います。
肺全体に広範に起こることから「びまん性(瀰漫性)」、気管支の腔内や壁内、壁周囲に炎症がおよぶことから「汎」の言葉が付いています。
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慢性閉塞性肺疾患は、喫煙を最も重要な原因として、様々な有毒ガスや粉塵、微粒子を吸入することで、肺の最も重要な組織である肺胞を破壊したり、気道炎症を起こしたりする疾患です。
進行は緩やかでも着実に不可逆的に症状が進行し、容易に息切れする症状が出るほか、多くの場合、咳嗽や喀痰も伴います。
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肺を包んでいる肋膜(胸膜)に穴が明き、激しい胸の痛みが突然襲ってくる病気で、呼吸困難となります。
肺は膨張と収縮を繰り返して呼吸していますが、この病気になると、肺の表面から胸の中に空気が漏れ出すために、収縮したまま十分に膨らむことができません。
原因には、自然気胸、外傷性気胸、医原性気胸の3つがあります。
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膿胸は、細菌性の肺炎や全身性の敗血症、外傷、手術などが原因となって、胸膜が炎症を起こし、胸膜内に膿性滲出液が溜まった状態の疾患です。
症状は、元気を消失し、発熱や胸痛などを呈し、一般に重篤です。
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胸膜炎は、肺の外部を覆う胸膜に炎症が起こる疾患で、以前には「肋膜炎(ろくまくえん)」とも呼ばれていました。
胸膜炎は、それ自体で発症することは少なく、多くの場合、肺がんや肺結核、肺炎などに引き続いて発症します。
胸膜炎の症状としては、発熱や咳、痰などのほか、胸水が貯留することによる胸の痛みや呼吸困難が出現します。
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呼吸不全は、何らかの原因によって、肺の中での酸素と二酸化炭素のガス交換が正常にできなくなり、血液中の酸素濃度が不足する状態です。
呼吸不全は、呼吸不全という疾患名ではなく、何らかの元になる疾患があり、その疾患によって呼吸器の機能が低下し、各種臓器に十分な酸素が送れなくなる状態をいいます。
呼吸不全には、急性と慢性とがあり、急性では悪寒を伴う高熱が発生し、同時に咳や胸痛、呼吸困難となります。重症になると、血圧低下や敗血症を伴い、ショック状態となります。
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肺性心は、何らかの肺疾患が原因となって、心臓に異常をきたす病気です。
心臓の右心室は体内を循環してきた血液を肺に送り込む働きをしていますが、肺疾患のために肺での血流が悪くなると、肺動脈の血圧が上昇するとともに右心室の肥大拡張に陥り、右心室が機能しなくなる〔右心不全〕の状態になります。
咳や痰、疲れやすいなどの症状、胸が喘鳴したり、呼吸困難が出現します。進行するとチアノーゼ、胸部痛が起こり、頚静脈の怒張、静脈拍動、浮腫もきたします。喀血や突然死の可能性もでてきます。
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何らかの原因で、心臓の右心室から肺へ向かう肺動脈の血圧が異常に高くなる病気です。
通常、肺高血圧症は、生まれつきの心臓疾患や肺動脈への血栓が詰まる疾患、肺気腫などで起こります。
しかし、そのような原因がはっきりしない原因不明の状態で、肺高血圧症状が現われるものを〔原発性肺高血圧症〕と呼びます。
「原発性」という言葉は、「原因不明」という意味です。治療は困難で、発症から死亡までの期間が3年未満と予後が極めて悪いため、厚労省での特定疾患(難病)に指定されています。
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過換気症候群は、精神的なストレスや不安感、緊張感などをきっかけとして始まる、発作的な異常に早い呼吸が続く状態をいいます。
血液中の二酸化炭素が肺から排出され過ぎてしまうために、全身の病的状態が起こります。
過換気症候群の発作がでると、手足の痺れや痙攣が起こり、重度になれば意識障害に陥ることもあります。
緊急時には、紙袋などを口にあてて、自分の吐いた息を繰り返し吸い込むようにして、酸素の過剰供給を弱めます。
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ここで述べてきた肺に関連する疾患の他にも、次のような病気があります。
・低換気症候群
・肺動静脈瘻
・成人呼吸促迫症候群
・乳び胸
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