抗菌薬投与では治療ができない場合には、「虫垂切除術」が行われます。
虫垂炎では、手術は確実な治療法ですが、手術を行うべきかどうかの判断は、次のような点を考慮して判定されます。
・症状が強く、穿孔が疑われる場合
・炎症所見が強く、穿孔のおそれがある場合
・虫垂内に糞石があり糞石を除去しないと症状改善が困難な場合
・幼児で進行が急速で穿孔しやすい場合
・妊婦で、万一穿孔して胎児への悪影響が懸念される場合
以前の手術では、脊椎麻酔での局所麻酔か、幼児の場合は全身麻酔のもとで、右下腹部を数センチ切開して、小さな切り口から虫垂を引き出して切除していました。
最近では、腹腔鏡手術法が発達し、虫垂切除も腹腔鏡下に行われるようになりました。
腹腔鏡手術では、全身麻酔下でお腹にガスを押し込み膨らませ気腹とし、へその下、あるいは下腹部数箇所を1cmほど切開し、そこからカメラと手術機材を挿入して虫垂を切除します。
強い腹膜炎がなく、かつ手術後24時間以内におならがでれば、口から食べ物を摂取することができます。
数日間の点滴と抗生剤の投与で完治します。
壊疽性虫垂炎となって腹膜炎を併発している場合には、食物の経口摂取はできず、点滴や抗生剤の投与、および長期の入院が必要となります。
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