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[ Physical Illness ]

* Illness of Digestive Organ *
Acute Appendicitis


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 口から摂取された食物は、胃や小腸、大腸などの消化器官を経由しながら栄養分として吸収され、吸収されない不要分は最終的に肛門から排泄されます。

 消化器官の最終部分は大腸であり、大腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、そして最後に肛門へと繋がっています。

 大腸の始まり部分である腹部右下には「盲腸」と呼ばれる器官があり、その先端に紐のように突き出ている小さな突起は「虫垂」と呼ばれる器官です。虫垂は長さが5~10cmの大きさがあります。



 〔急性虫垂炎〕は、この虫垂に炎症が起こり、腫れたり、膿がでたり、発熱したりする病気で、俗に〔盲腸炎〕とも呼ばれます。

 〔急性虫垂炎〕になると、上腹部の不快感、鈍痛から始まり、下腹部がズキズキと痛み出し、時間が経つにつれて強く痛むようになります。

 そして、37~38度の発熱、吐き気、食欲不振、便秘などの症状を伴います。放置すれば、ついには虫垂壁に穴があき、〔腹膜炎〕を起こし極めて危険な状態となります。


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Overview

[ A disease called Acute Appendicitis ]

What kind of illness is it?

 盲腸は小腸から大腸に移り変わる部分の最端部にある部分で、右下腹部にあります。この盲腸から出ている細長い器官が虫垂です。急性虫垂炎は、何らかの原因で虫垂が閉塞し内部で細菌が増殖して炎症が起きている状態です。虫垂が盲腸部の下端から突出している部分にあるため、俗称では盲腸炎とも呼ばれます。

 急性虫垂炎には3つのタイプがあり、進行して穿孔し、腹膜炎などを起こしていれば緊急手術が必要です。

急性虫垂炎のタイプ

カタル性虫垂炎

 抗生剤の投与で治療可能です。

蜂窩織炎性虫垂炎(ほうかしきえんせいちゅうすいえん)

 膿が虫垂内部に充満しているが、穿孔はない状態です。手術は不可欠となります。

壊疽性虫垂炎(えそせいちゅうすいえん)

 虫垂組織が壊死してしまい、すでに穿孔があり、腹膜炎、膿瘍を伴う状態です。かなり進行してしまっており、緊急な手術が不可欠です。



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Symptom

[ Symptom of Acute Appendicitis ]

Typical symptoms

 急性虫垂炎になると、先ずみぞおち付近が痛み出し、時間が経過すると痛みが右下腹部へと移動するように感じます。やがて、37~38度Cの発熱が現れ、吐き気や嘔吐、食欲不振を伴います。炎症性疾患のため必ず発熱を伴います。

 虫垂炎が進行すると、腹痛は万力で締め付けられるような激しいものとなります。ついには、虫垂が壊死してしまい、穿孔して内部の膿汁や腸液が腹腔内へと流出して、腹膜炎を起こすことがあり、このような重症になると死にいたることもあります。


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cause

[ Cause of Acute Appendicitis ]

Typical Causes

 急性虫垂炎の原因は定かではありませんが、異物や固まった便が虫垂内部に詰まることが一つの原因となることもあるようです。

 6歳未満の乳幼児が腹痛となる疾患では、急性虫垂炎は比較的に頻度が高く、診断が遅れると重症になる可能性が高いです。乳幼児では、虫垂突起の壁が薄いために、いったん炎症が発生すると、多くの場合、穿孔性の急性虫垂炎となりやすく、腹膜炎にまで進行してしまうからです。

 自分の症状をしっかり説明できないことも診断を遅らせる原因の一つとなります。6歳以上くらいになると、腹痛の状態を的確に説明できるようになるので、診断は容易となります。


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Diagnosis

[ Diagnosis of Acute Appendicitis ]

Typical diagnostic method

 急性虫垂炎の診断では、先ず、触診と血液検査が行われます。必要に応じ、腹部超音波検査、CTスキャンなどで検査します。

 しかし、急性虫垂炎の検査では、虫垂炎だけに特有な症状や検査所見があまりないので、正確な診断は難しいこともあります。右下腹部での腹痛は虫垂炎の他にも数多くあるためです。

急性虫垂炎の診断方法

触診

 典型的症状として、右下腹部を圧迫すると痛みを感じます。

 腹部を圧迫してから、急に手を離すと、反跳痛と呼ばれる痛みを感じるなら、腹膜炎を起こしている可能性が大となります。

 発症から約12時間を経過すると、血液検査で白血球数が増え、炎症反応(CRP)が陽性となります。診断には腹部触診(医師が手で腹部を圧迫する検査)、直腸診(肛門から指を挿入して炎症の進行程度を診断する検査)が最も重要で、この検査で緊急手術をすべきかどうかの診断が決まります。乳幼児では小児外科専門医による診断が必要です。

血液検査

 血液検査で虫垂炎の特異的な所見はありません。

 しかし、発症から約12時間ほど経過すると、血液中の白血球数が増加するので、血液中の白血球数検査が診断の有力な指標となります。また、炎症反応(CRP)が上昇し陽性となるのでこれも証拠となります。CRP(C-reactive Protein)というのは、体内で炎症反応や組織破壊などがあるときに、血液中に現れるタンパク質のことです。

腹部超音波検査

 超音波検査で肥大した虫垂の画像が表示されれば、他の所見と合わせて診断が確定されます。この方法はあまり感度は高くなく、尿管結石などではないことを確認するために有用とされます。超音波検査は、乳幼児などが泣き喚き診断ができないような場合の診断には有効です。

CTスキャン

 CTスキャンで肥大した虫垂が表示されれば、他の所見と合わせて診断は確定されます。



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treatment

[ Treatment of Acute Appendicitis ]

急性虫垂炎の治療方針

 急性虫垂炎の治療には、炎症が軽度な場合には抗菌薬が使われることがあります。しかし、多くの場合、手術による虫垂切除が簡単で安全なこともあって、虫垂切除術が行われるのが普通です。

急性虫垂炎の治療方法

抗菌薬投与

 炎症が軽度であれば、適切な抗菌薬の投与で完治します。使用される抗菌薬は、多くの場合、「グラム陰性桿菌」や「嫌気性菌」に感受性のある抗菌薬です。セフォチアム、フロモキセフ、スルバクタム・セフォペラゾンなどがあります。

虫垂切除術

 抗菌薬投与では治療ができない場合には、「虫垂切除術」が行われます。虫垂炎では、手術は確実な治療法ですが、手術を行うべきかどうかの判断は、次のような点を考慮して判定されます。

 ・症状が強く、穿孔が疑われる場合
 ・炎症所見が強く、穿孔のおそれがある場合
 ・虫垂内に糞石があり糞石を除去しないと症状改善が困難な場合
 ・幼児で進行が急速で穿孔しやすい場合
 ・妊婦で、万一穿孔して胎児への悪影響が懸念される場合

 以前の手術では、脊椎麻酔での局所麻酔か、幼児の場合は全身麻酔のもとで、右下腹部を数センチ切開して、小さな切り口から虫垂を引き出して切除していました。

 最近では、腹腔鏡手術法が発達し、虫垂切除も腹腔鏡下に行われるようになりました。腹腔鏡手術では、全身麻酔下でお腹にガスを押し込み膨らませ気腹とし、へその下、あるいは下腹部数箇所を1cmほど切開し、そこからカメラと手術機材を挿入して虫垂を切除します。

 強い腹膜炎がなく、かつ手術後24時間以内におならがでれば、口から食べ物を摂取することができます。数日間の点滴と抗生剤の投与で完治します。壊疽性虫垂炎となって腹膜炎を併発している場合には、食物の経口摂取はできず、点滴や抗生剤の投与、および長期の入院が必要となります。