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[ Physical Illness ]

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尿失禁
〔尿失禁〕

腹圧性尿失禁
溢流性尿失禁
切迫性尿失禁
反射性尿失禁
機能性尿失禁
夜尿症

〔機能性尿失禁〕

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この疾患の概要です

 〔尿失禁〕は、簡単には、自分の意思に関係なく、尿が漏れ出してしまう症状のことです。

 幼児などの夜尿症もその一つですが、尿失禁というときは、主に成人してから、何らかの身体的・精神的病気や異常などのために尿漏れが起こる状態を指しています。

 急性尿失禁の中には6つほどの種類があります。

 ご覧になっているこのページでは、これらの中で、機能性尿失禁の部分だけをご説明しています。



 〔機能性尿失禁〕は、尿路や排尿機能などは正常であるにもかかわらず、身体精神障害があって、トイレまで行くことができない、トイレに行きたがらない、間に合わないなどから、尿が漏れてしまう疾患です。

 一般的には、脳卒中などの脳疾患の後遺症などで、身体の自由が利かなくなった状態や、アルツハイマー病などの認知症・痴呆などの精神機能障害の場合に起こります。



 高齢者などで「ADL」と呼ばれる日常生活動作(食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など)の機能が低下して起こる〔機能性尿失禁〕の場合や、痴呆などによる尿失禁の典型的な症状には次のようなものがあります。

〔機能性尿失禁の症状〕

・トイレまで間に合わない。
・トイレが汚れて困る。
・洋服が汚れる。
・夜のおむつ交換が大変。
・寝たきりに適した良いおむつがない。

〔認知症・痴呆などでの症状〕

・尿意がはっきりと分からない。
・トイレの場所がわからなくなる。
・トイレに誘うと怒る。
・トイレと違う場所で排泄する。
・引き出しや家具などに排尿排便を隠す。
・トイレがひどく汚れる。
・お漏らしをみとめようとしない。
・おむつをしても勝手に外す。
・便をこねまわす。



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Overview
〔尿失禁という病気〕

 自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまうのを尿失禁といいます。

 くしゃみした拍子に漏れてしまうもの、トイレが間に合わずに漏れてしまうもの、何らかの病気で膀胱に尿がたまり、これが一気に溢れ出るものなどがあります。

 尿失禁には、身体状態や精神状態など多くの原因により起こります。原因に即した適切な治療を受ければ治癒あるいは改善が期待できる病気です。

〔機能性尿失禁はどんな病気?〕

 尿路や排尿機能自体は正常であるにもかかわらず、身体精神障害のために、トイレまで行くことができない、トイレに行きたがらない、間に合わないなどで、尿が漏れてしまう症状です。

 一般的には、脳卒中などの後遺症などで、自由に身体を動かせない状態になった場合や、アルツハイマー病などの痴呆などによる精神機能障害の場合に起こります。


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Symptom
〔機能性尿失禁の症状〕

 既に「尿失禁」のページ内の「尿失禁の種類」の項でご説明していますが、尿失禁とは、自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまう状態または病気です。

 症状は不随意に尿が漏れ出すという状態でも、それを引き起こす原因や症状にはいろいろなものがあります。

 高齢者などで「ADL(Activities of Daily Living)」と呼ばれる日常生活動作(食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など)の機能が低下して起こる〔機能性尿失禁〕の場合や痴呆などが原因で起こる尿失禁の典型的な症状は次のようなものです。

機能性尿失禁の典型的症状
〔日常生活動作の機能低下による尿失禁の症状〕

・トイレまで間に合わない。
・トイレが汚れて困る。
・洋服が汚れる。
・転倒の危険があって怖い。
・臭い。
・夜のおむつ交換が大変になる。
・寝たきりだが良いおむつはない。

〔痴呆などが原因での尿失禁の症状〕

・尿意がはっきりと分からなくなる。
・トイレの場所がわからなくなる。
・トイレに誘うと怒る。
・トイレと違う場所で排泄する。
・引き出しや家具などに排尿排便して隠そうとする。
・トイレがひどく汚れる。
・トイレや体が汚れても、本人は気がつかない。
・お漏らしをみとめようとしない。
・おむつをしても勝手に取り去ってしまう。
・便をこねまわしてしまう。



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cause
〔機能性尿失禁の原因〕

 膀胱や尿道など泌尿器に特別な異常がないのに、身体や精神上の問題があって起こる尿失禁です。この原因には、「身体運動障害」がある場合と、「老人性痴呆」がある場合などがあります。

機能性尿失禁の原因
〔身体運動障害〕

 身体の運動障害のために、トイレに行くことができない、あるいは排尿動作に時間がかかり間に合わないなどが起こります。

 このような状態になる原因としては、「脳卒中(脳出血・脳梗塞)」などの後遺症による動作障害や、「関節リウマチ」や「腰椎・大腿骨骨折」などによる身体運動障害などがあります。

〔老人性痴呆〕

 最も典型的なのは、アルツハイマー型の老人性痴呆です。

 このような疾患を持つ人は、排尿機能などに特別な異常がなくても、トイレの場所が分からない、別の場所をトイレだと思い込むなどの認知障害のために、トイレ以外で排尿してしまいます。



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Diagnosis
〔尿失禁の診断〕

 尿失禁の診断は、一般的に次のような手順で行われます。

・問診
・採尿検査
・腹部超音波検査
・ウロダイナミクス検査

尿失禁の検査
〔問診〕

 問診で、現在の日常生活や排尿状況、失禁の起こる状態を確認します。問題の原因を見極め、今後の治療方針を定めるために役立てます。

〔採尿検査〕

 尿を採取し、尿の各成分の成分分析、血球や細菌の有無などを調べて、泌尿器系の病気などを診断します。

 尿失禁の詳細を把握するために、最低3日間の尿失禁状態の記録をとります。排尿回数、時刻、尿失禁の有無、失禁時の漏れ量などを記録します。これにより、尿失禁の型が判定できるようになります。

〔腹部超音波検査〕

 腹部超音波検査で、肺女御の膀胱内の残尿量を調べます。残尿量が多い場合には、「溢流性尿失禁」の可能性が高まります。また、前立腺障害や腎臓障害などの異常の有無などの判定にも役立ちます。

〔ウロダイナミクス検査〕

 ウロダイナミクス検査は、次に示すような多くの検査があります。

・尿流量測定
・膀胱内圧力測定
・リークポイント・プレッシャー測定
・尿道括約筋・筋電図測定
・プレッシャーフロー・スタディ

ウロダイナミクス検査
〔尿流量測定〕

 尿の出はじめから終わりまでの量変化の測定で、グラフから排尿障害の有無を調べます。

〔膀胱内圧力測定〕

 尿道から膀胱へ測定機器を挿入し、生理食塩水を注入します。

 膀胱内の溜まりから排尿にいたるまでの膀胱内圧を測定し収縮パターンを解析します。

 内圧や収縮力から、どの型の尿失禁か判定します。

〔リークポイント・プレッシャー測定〕

 膀胱に水を満たした状態で腹圧をかけ、尿が漏れ出す瞬間の尿道や括約筋の働きを調べ、腹圧性尿失禁かどうかを判定します。

〔尿道括約筋・筋電図測定〕

 尿の溜まりはじめから排尿までの、尿道括約筋の筋電図をとり、尿道括約筋の収縮不全が原因の腹圧性尿失禁かどうかを判定します。

〔プレッシャーフロー・スタディ〕

 尿流量測定と膀胱内圧測定を同時に行い、排尿障害の原因を突き止めます。




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treatment
〔尿失禁の治療方針〕

 尿失禁の治療法は、尿失禁の発症原因により異なります。

 通常、行われる治療法には次の四つがあります。

・骨盤底筋体操
・薬物療法
・電気刺激療法
・外科的療法

 尿失禁の型に応じて、これらの治療法を単独あるいは併用して治療を行うことになります。

〔骨盤底筋体操〕

 「腹圧性尿失禁」の治療で絶大な効果があるのは、「骨盤底筋体操」と呼ばれる方法です。この体操を始めると、大部分の人に、1~3か月くらいで目に見える効果がでてきます。

 肛門と膣の「締める」→「緩める」→「締める」というパターンを繰り返します。

 これを行う動作は、椅子に座って、机に手をついて、仰向けにねて、立ち上がっている状態でなど自由ですが、5秒間「締め」たら、次に5~10秒間「緩め」、これを最低でも10回くらい繰り返します。

 苦しいですが、20回くらい頑張れるなら最高です。

〔薬物療法〕

 腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁の治療に使われる医薬には、「抗コリン剤」「βアドレナリン受容体刺激薬」および「αアドレナリン受容体刺激薬」などがあります。

 薬物療法は、尿失禁に適した医薬を正しく使用しないと、逆に症状が悪化したり、思わぬ副作用がでることがあります。

 ですので、医師の指示に厳密に従わなくてはなりません。

〔電気刺激療法〕

 膀胱のある部分の骨盤表面に電極を貼り付け、電圧と周波数と時間を調整しながら一定のパルスはを送り、これを一回の処方で20~30分くらい続けます。

 これにより、骨盤底筋群を鍛える効果が生まれます。

 この療法は、切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁の治療に効果があります。また、この刺激により膀胱が過敏に収縮するのが抑制できるとの報告もあります。

〔外科的療法〕

 腹圧性尿失禁に対して、外科的な手術を行う療法です。

 例えば、開腹して膀胱と尿道の部分を恥骨の裏側に縫い付けて、後ろに落ちないように固定するなどの手術です。

 このような外科的療法として次の四つの方法があります。

・MMK法
・膀胱頚部つりあげ術
・スリング法
・コラーゲン注入法

 また、切迫性尿失禁の外科的療法として「膀胱拡大術」があります。膀胱自体を大きく作り直す外科手術ですが、治療効果が確実かどうか疑問も残ります。

 外科的療法では、深刻な合併症が起こるとの情報もあるので、安易には行わない方がよいでしょう。

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