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[ Physical Illness ]

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〔血液の構成〕

血液構成赤血球白血球血小板血漿
 
血液構成の概要

 骨の中心部の骨髄中には、将来、全ての血液成分の元となる「造血幹細胞」というものが存在します。

 そして、この造血幹細胞には二つの大きな特徴があります。

 第一の特徴は「自分自身と全く同じ「造血幹細胞」を複製する自己複製能力です。



造血幹細胞が分化する特徴模式図



 造血幹細胞は血液を産生するためにどんどん消費されます。

 しかし、この複製能力があるために血液が尽きることはありません。

 第二の特徴は、全血液成分へ分化する能力です。

 血液は、造血幹細胞から次々と分化して、赤血球や白血球、血小板などのもとになる各種の前駆細胞に変化し、更に成長し成熟すると赤血球、白血球、血小板成分となって血流中に出てゆくのです。

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血液成分の構成
〔血液成分の構成〕
血液の構成の説明図

 上図で示すように、体内を流れる成熟した血液は、大きな分類として「細胞成分(血球成分)」と「血漿成分」とから構成されています。

 血液の組成は大変複雑になっていますが、それぞれの成分には人間の身体を維持するための特有で重要な働きがあります。

〔細胞成分の詳細構成〕

 細胞成分には「赤血球」や「白血球」「血小板」などの重要な成分が含まれます。

 細胞成分のひとつである白血球には、次のように数多くの種類があります。

 ・好中球
 ・好酸球
 ・好塩基球
 ・単球
 ・リンパ球
 ・形質球

 単球というのは、貪欲細胞とかマクロファージなどと呼ばれるもので、人体の免疫機能に大きな役割を果たしている成分です。

〔血漿成分の詳細構成〕

 血漿成分は大きくは「有機物成分」と「無機物成分」とから構成されていて、有機物成分は「血漿たんぱく」や「糖・脂質・老廃物」からなります。

 この中で、血漿たんぱく質は、アルブミン、グロブミン、フィブリノーゲンなどから成り、グロブリンは免疫機能やアレルギー反応に大きく関わってきます。

 血漿中の無機質成分は主に「水分」と「電解質」です。

〔血清と血ぺい〕

 血液を細長いガラス容器に入れて鎮静すると、上部のやや淡黄色の液体成分と下部の赤い塊とに分離します。

 上部にできる透明の液体は「血清」と呼ばれ、いろいろな病気の治療などに重要な役割を果たします。

 また、下部にできる塊が「血ぺい」と呼ばれる成分で、血球成分と、血漿中のフィブリノーゲンなどの混合物が固まったものです。

 出血した血液を放置すると直ぐに固まり始めますが、この役目を果たしているのが血ぺいです。

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赤血球の役割
〔赤血球の構造〕

 赤血球の大きさは7~8μmで、せっけ球の個数は、男性で約500万個/mm3、女性で約450万個/mm3 ほどあり、寿命は大体120日程度です。

〔赤血球の役割〕

 赤血球は、細胞内に鉄を含むヘモグロビンを有することで、酸素と結合し血流に乗って体中に酸素を運搬します。わずかながら二酸化炭素も運搬します。

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白血球の役割
〔白血球の構造〕

 白血球は、血液中の細胞成分の一つで、顆粒球とリンパ球,単球に大別され、顆粒球は好中球,好酸球,好塩基球の3種類があるので、白血球の主要成分は5種類となります。

 ・顆粒球
   ・好中球
   ・好酸球
   ・好塩基球
 ・リンパ球
 ・単球

 白血球には、特殊な細胞として形質球(形質細胞)と呼ばれる成分もあります。

 白血球の大きさは、7~25μmで、体内での個数は4000~10000個/mm3 で、寿命は4~5日程度です。

 白血球は、体内に侵入してくる細菌やウイルスなどの異物を排除する働きを持つ、造血幹細胞由来の細胞です。

 怪我などにより傷口が化膿したときの膿というのは、実は白血球の死骸が集まったものです。

 白血球を構成する各成分には実に多くのものがあります。

〔顆粒球の役割〕

 白血球の中の顆粒球には「好中球」「好酸球」および「好塩基球」があり、それぞれ次のような役割を果たしています。

顆粒球の役割
好中球

 体内に侵入する病原微生物やウイルスなどの貪食作用。

好酸球

 アレルギー症状の悪化と関連。

好塩基球

 慢性アレルギー疾患の発症、悪化に関与。


〔単球の役割〕

 単球は「マクロファージ(大食細胞・貪食細胞)」の一種で、体内に侵入してくる大きな異物の貪食作用をします。

 また、リンパ球の一つである「ヘルパーT細胞」に対して、侵入してきたアレルゲン(抗原)の情報を提供します。

〔リンパ球の役割〕

 リンパ球は、白血球の25%ほどを占めていて、詳しくは「Tリンパ球(T細胞)」「Bリンパ球(B細胞)」「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」の3種類があります。

 リンパ球は、ウイルスなどの小さな異物に対して攻撃するほか、抗体を使ってあらゆる異物に対して攻撃を行います。

 T細胞は、骨髄で産生され、いったん胸部の胸腺に入り、異物を「自己」か「非自己」かに識別する方法を学習し、再度胸腺から血中に出てくる細胞で「細胞性免疫」に強く関わります。

 T細胞には「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」「感作T細胞」および「サプレッサーT細胞」という種類があり、侵入してくる外敵を攻撃する作用を果たします。

T細胞の役割
ヘルパーT細胞

 マクロファージから情報を受けて、侵入者が「自己」か「非自己」かを識別します。非自己なら、B細胞に情報を伝えて抗体を作るように指示します。

キラーT細胞(CTL)

 キラーT細胞は、正式名を「細胞傷害性T細胞」と呼ばれ、「CTL」とも呼ばれる細胞です。異物となる移植細胞やウイルス感染細胞、がん細胞などを認識して破壊します。殺し屋という意味でキラーT細胞と呼ばれるのです。

感作Tリンパ球

 ウイルスなどの感染が起こった場合、キラーT細胞とともに感染された細胞を攻撃し、病気の進行を食い止める大切な働きをします。

サプレッサーT細胞

 抗体が外敵撃退に成功したら、もうこれ以上抗体を作らなくてよいと、B細胞に指示します。これで身体は、外敵侵入前の状態になります。


B細胞の役割
B細胞の役割

 B細胞は、骨髄で産生され胸腺を経由することなく血液中に入り、Tリンパ球からの情報により抗体を産生するリンパ球です。


NK細胞の役割
NK細胞の役割

 NK細胞は形態学的特長から「大型顆粒リンパ球」とも呼ばれるリンパ球です。NK細胞は、独自に体内を常時パトロールし、がん細胞やウイルスなどの外敵が侵入すると単独で立ち向かいウイルスなどを殺す強力なリンパ球です。

 しかし、外敵に遭遇してから活性化して威力を発揮するまでに1~2日を要してしまいます。


〔形質球の役割〕

プラズマ細胞。リンパ球に準じて抗体産生に寄与する。

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血小板の役割
〔血小板の構造〕

 血小板は、骨髄中の巨大核細胞という細胞の細胞質がちぎれたもので、核を持たず形も不定形です。

 血小板の大きさは1~4μmで、血液中に10万~40万個/mm3 程度含まれています。寿命は3~10日程度で、死滅すると脾臓で破壊されます。

〔血小板の役割〕

 血管が損傷したときに傷口を塞ぎ、出血を止める役割を果たします。

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血漿の役割
〔血漿の作用〕

 血漿は、血液中の液体成分で、血液の55%を占めています。その内の91%は水分で、その他に、血漿たんぱく質、脂質、糖類(グルコース)、電解質(無機塩類)および老廃物を含んでいます。

 血漿は、血液細胞・養分・ホルモン・老廃物の運搬、体内恒常性の維持、血液凝固、免疫機能を持っています。

 また、血漿は身体を循環することで、体内組織で発する熱を冷やしたり、逆に熱を運んだりします。また、血漿中に溶けた二酸化炭素を運搬します。

〔血漿たんぱく〕

 血漿中に溶けている血漿たんぱく質には、アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンの3つがあります。

 アルブミンは血漿たんぱく質の3分の2を占め、他の血漿たんぱくに比べて分子量が小さく、血液の浸透圧を維持し、ホルモンや薬などと結合してそれを運搬したり、栄養素の予備として働きます。

 グロブリンには3つの種類があります。

 ・αグロブリン
 ・βグロブリン
 ・γグロブリン

 この内でγグロブリンは「免疫グロブリン」と呼ばれ、免疫反応の主役となる物質です。

 免疫グロブリンは、リンパ球によって産生される「抗体」で5つの種類があります。

 ・IgG
 ・IgM
 ・IgA
 ・IgD
 ・IgE

 グロブリンは、ウイルス、細菌、真菌、癌(がん)細胞などから体を保護する免疫の役割を果たします。

 フィブリノーゲンは、繊維状たんぱく質で血液凝固に関わります。傷などができると、血小板と重合して血球を包み込んで血ぺい(凝結塊・かさぶた)をつくり、出血を止める血液凝固因子として働きます。

〔糖・脂質・老廃物〕

 血漿中の糖分や脂質は栄養分として各臓器などに運搬されます。また、老廃物は腎臓に運ばれて排泄されます。

〔電解質(無機塩類)〕

 電解質は、水に溶け電気を通す塩化ナトリウムのように電荷を持ったイオンとして解離する物質です。

 電解質は、酸塩基平衡、水分の保持、細胞膜の電位差などを維持する、生理的に重要な役割をもっています。

 代表的な電解質としては、ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム、リンなどがあり、それぞれ、血液中で一定濃度を保ちながら、重要な役割を担っています。

〔水分〕

 血漿中の水分は、体内の組織に水分が不足すると血液内から補給し、逆に体内の水分が余分になると血液中に吸収される役目を果たします。

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