遮眼書字検査 |
遮眼書字検査は、眼を閉じた状態で、真っすぐ縦に5文字くらいの文字を書き下ろします。たとえば、自分の「姓名」や「ABCDE」や「アイウエオ」などを書く「文字書き検査」です。
この検査は、眼を閉じて文字を書いたとき左右に文字が傾くかどうかを調べる検査です。
何度か繰り返して行い、だんだんどちらかに偏ってくると、そちら側に偏倚(へんい)があるということになりメニエールの疑いが出てきます。
また、文字に震えが出るなら、脳幹障害が、文字に乱れが出るなら小脳障害がある可能性があります。
|
立ち直り検査 |
目を開けた状態と閉じた状態で、両足での直立検査(両足直立検査)、片足での直立検査(単脚直立検査)、マン検査を行います。
マン検査というのは、一方の足のつま先の前にもう一方の足の踵(かかと)を出し、二つの足の踵とつま先をくっつけて立った状態で行う検査です。
これらの検査は、目を開けた状態と閉じた状態で行います。
もしも、脳に異常がある場合には、開眼状態でも閉眼状態でもふらつきが現れますが、内耳が悪いと、閉眼状態でのふらつきが大きくなります。
|
偏倚検査 |
眼を閉じて、その場で50~100歩の足踏みをします。どちらかに大きく回転するなら、その方向に偏っていく傾向があることになります。
片側の内耳に障害がある場合には、悪い側の耳の方角にだんだん曲がってゆきます。脳幹に障害があってもどちらかの方角に回転してゆきます。
両側の内耳に障害があるか、小脳障害があると、後ろ側に倒れたり、歩幅が広くなったりして足踏みがスムーズにできなくなります。
|
重心動揺検査 |
体重計のような装置の上にのり、30秒~60秒間、だまって装置の上に立っているだけの検査です。眼を開けた状態と眼を閉じた状態で検査します。
この装置では、身体の揺れを自動的に記録します。重心のふらつきを正確に測定することができ、ふらつきの度合いを客観的な数値として知ることができます。
|
注視眼振検査 |
眼の前に注視するものを置き、頭を動かさずに視線を上下左右に移動し、そのときに「眼振」現象が起こるかどうか調べます。
眼振というのは、眼球が一方に片寄った後で中央に戻る動き、眼の揺れをいい、これによりめまいの起こり易さを診断することができます。
平衡器官に異常があると、規則的な眼振現象が起こります。
内耳が悪いときは、視線を上下左右のどちらを向けても、眼振の方向は右向きか左向きのどちらかに一方に一定して起こります。
脳幹や小脳に障害があるときは、視線の方向によって、眼振の方向や種類が変わってきます。
|
頭位眼振検査 |
フレンツェル眼鏡という特殊なメガネを装着して、頭を動かしたときの眼振の様子を調べます。
フレンツェル眼鏡というのは、内部に小さな電球がついた凸レンズのメガネです。このメガネを装着すると、患者からは何も見えないのですが、医師からは患者の目の動きがよく分かるようになっています。
患者はベッドの上に寝た状態となり、頭を左右に傾けたり、頭を下げたりします。このとき、眼振が出るかどうか観察します。
内耳が悪いと、眼振の方向は一定していますが、脳幹や小脳に障害があると、様々なタイプの眼振が出現します。
|
頭位変換眼振検査 |
フレンツェル眼鏡を装着した状態で、頭を前後左右に急激に動かし、眼振の状況を観察します。
良性発作性頭位めまい症では、特定方向に頭を動かしたとき、眼がクルクル回るような眼振が出現します。
|
回転眼振検査 |
頭を回すと、その回転速度(角加速度)によって、三半規管が刺激されて眼振が出現します。
回転眼振検査というのは、回転の角加速度と眼振の関係を調べるもので、前庭系のアンバランスがないかどうかを調べる検査です。
内耳や脳幹、小脳などの病気の鑑別し使用できますが、大掛かりな装置が必要であり一般的な検査ではありません。
|
温度眼振検査 |
ベッドに横になり、片耳に水を入れるか、温風を当てます。前庭機能が正常だと2~3分間だけ眼振が現れ回転性のめまいが起こります。
しかし、メニエール病が進行すると、温度眼鏡反応は低下し、めまいは軽度かまったく起きてきません。
|