良性発作性頭位眩暈症は、激しい回転性のめまい発作が突然やってくる疾患です。
めまい発作が発症する典型的な例は、次のようなもので、発作は天井が激しくぐるぐる回るようなめまいが起こることです。
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・夜中にトイレに行こうと立ち上がった瞬間。
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・明け方、ベッドで寝返りを打った瞬間。
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めまい発作は、頭の動きを止めると数秒~数十秒で治まりますが、ちょっとでも頭を動かすとまためまいが始まります。
良性発作性頭位めまいは、めまいの中では軽度な種類で、比較的簡単に治癒するので心配のないものです。
通常は2~3週間で治癒しますから、心理面でもそれほど怖くないのですが、中には、まためまい発作が襲ってくるのではないかと不安になり恐怖を抱く方もいます。
めまい自体が怖いというより、まためまい発作が襲ってくるのではないかという恐怖心が心配の元となります。
この疾患による症状の特徴は、頭を特定の位置にもっていくとめまい発作が起こるのですが、このようなことを何度も繰り返していると、徐々に軽くなることです。
また、めまい発作は起こっても、難聴や耳鳴りの聴覚異常・聴覚症状は起こりません。
1 眩暈のスイッチ起動 |
就寝中に寝返りをうったり、トイレに行こうとベッドから立ち上がった瞬間や朝になってベッドから起き上がろうとしたときなど、頭の位置をある特定の角度に移動するとめまい誘起のスイッチが入ります。
この段階ではまだめまいは起こっていません。
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2 眼振発生 |
ある特定の頭位になったときから、「潜時」と呼ばれる数秒の時間をおいて、眼振が出現します。
眼振というのは、眼球が不随意に小刻みに揺れ動く状態です。そして一過性の激しい回転性眩暈が誘発されます。
頭をそのままの位置にして、じっと我慢をしていると、目が回っている時間は数秒~数十秒以内です。
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3 繰り返し動作 |
めまいが起こる頭位を何度も繰り返し行うと、その都度めまいは出現しますが、何度も繰り返しやっているうちに、次第に眩暈はでなくなり、やがて消失します。
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4 聴覚症状は出ない |
眩暈発作が起こるとき、軽い吐き気を伴うことがありますが、耳鳴りや難聴が一緒に起こることはありません。
このように、良性発作性頭位眩暈症では、難聴や耳鳴りなどの聴覚症状を伴わないのが特徴です。
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5 予後 |
この病気の予後は良好で、約2~3週間で治ることがほとんどです。
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6 平衡機能検査 |
平衡機能検査では、立ち直り検査や偏き検査、温度眼振検査などは正常なことが多く、身体全体のバランスが悪くなることもありません。
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7 他の眩暈との鑑別 |
良性発作性頭位眩暈症は、頸部眩暈や中枢眩暈と鑑別されます。
ここでの鑑別とは、良性発作性頭位眩暈症は、メニエールや頸部眩暈、中枢眩暈などのような重症の眩暈ではなく、そのようなものとは区別される、あくまでも良性のめまいであるという意味です。
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