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[ Physical Illness ]

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〔良性発作性頭位眩暈症〕

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この疾患の概要です

 〔良性発作性頭位眩暈症〕は、次のようにも呼ばれる疾患です。

 ・良性発作性頭位めまい症
 ・良性発作性頭位目眩症

 専門用語では、〔BPPV〕という記号で表示されます。

 頭の向きを上下左右などに急に変えようと動かすと、ぐるぐる目が回る回転性のめまいを感じる病気です。

 通常、めまいは数秒~数十秒で治まります。



 〔良性発作性頭位眩暈症〕を起こすような、頭の位置を急に動かす動作を繰り返し行っていると、眩暈(めまい)は起こらなくなります。

 〔良性発作性頭位眩暈症〕は、特定の頭位をとったり、頭位を変換することで起こる数秒~数十秒ほどの眩暈(めまい)です。

 しかし、蝸牛症状と呼ばれる〔難聴〕や〔耳鳴り〕などの現象はほとんど現れません。



 この病気の発症年齢は20~70歳代までありますが、好発年齢は50~70歳代です。

 また、男女比では、女性が男性の1.8倍とやや多くなっています。

 尚、いわゆる〔めまい〕は、次のように書かれることがあります。

 ・眩暈
 ・目眩
 ・眩冒


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Overview
〔良性発作性頭位眩暈症という病気〕

 良性発作性頭位眩暈症(BPPV:Benign Paroxysmal Positional Vertigo)は、耳の器官に原因があって起こる眩暈(めまい)の中で、最も頻度高く発症するめまいです。

 この疾患では、寝返りをうったり、寝た姿勢から急に上半身を起こしたり、急に横に振り向いたり、突然頭を上に向けたりなど、頭の位置を急激に動かしたときに、回転性の激しいめまいが出ます。

 良性発作性頭位眩暈症では、短時間ながら激しい回転性のめまいが起こりますが、通常、難聴や耳鳴り、頭痛、痺れなどの症状は現れないのが特徴です。

 疾患名からも分かるように、良性発作性頭位眩暈症は良性の疾患であり、心配するような病気ではありません。

 この病気が発症すると、2~3週間くらいは何度か起こりますが、めまいは数秒~数十秒程度で治まります。

 交通事故などで頭部外傷を負った人や、慢性中耳炎を患う患者、過去に結核を患いストレプトマイシンでの治療を受けたことのある人、中耳ないしアブミ骨手術を受けた人などに起こり易いとされます。

 良性発作性頭位眩暈症の発症年齢は20~70歳代と幅広くありますが、最も多く発症する年代は50~70歳代で、平均好発年齢は59歳とされます。

 また、男性よりも女性の方が発症しやすく、男性の1.8倍ほどあります。


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Symptom
〔良性発作性頭位眩暈症の症状〕

 良性発作性頭位眩暈症は、激しい回転性のめまい発作が突然やってくる疾患です。

 めまい発作が発症する典型的な例は、次のようなもので、発作は天井が激しくぐるぐる回るようなめまいが起こることです。

1

・夜中にトイレに行こうと立ち上がった瞬間。

2

・明け方、ベッドで寝返りを打った瞬間。

 めまい発作は、頭の動きを止めると数秒~数十秒で治まりますが、ちょっとでも頭を動かすとまためまいが始まります。

 良性発作性頭位めまいは、めまいの中では軽度な種類で、比較的簡単に治癒するので心配のないものです。

 通常は2~3週間で治癒しますから、心理面でもそれほど怖くないのですが、中には、まためまい発作が襲ってくるのではないかと不安になり恐怖を抱く方もいます。

 めまい自体が怖いというより、まためまい発作が襲ってくるのではないかという恐怖心が心配の元となります。

 この疾患による症状の特徴は、頭を特定の位置にもっていくとめまい発作が起こるのですが、このようなことを何度も繰り返していると、徐々に軽くなることです。

 また、めまい発作は起こっても、難聴や耳鳴りの聴覚異常・聴覚症状は起こりません。

めまい発作の起こり方
1
眩暈のスイッチ起動

 就寝中に寝返りをうったり、トイレに行こうとベッドから立ち上がった瞬間や朝になってベッドから起き上がろうとしたときなど、頭の位置をある特定の角度に移動するとめまい誘起のスイッチが入ります。

 この段階ではまだめまいは起こっていません。

2
眼振発生

 ある特定の頭位になったときから、「潜時」と呼ばれる数秒の時間をおいて、眼振が出現します。

 眼振というのは、眼球が不随意に小刻みに揺れ動く状態です。そして一過性の激しい回転性眩暈が誘発されます。

 頭をそのままの位置にして、じっと我慢をしていると、目が回っている時間は数秒~数十秒以内です。

3
繰り返し動作

 めまいが起こる頭位を何度も繰り返し行うと、その都度めまいは出現しますが、何度も繰り返しやっているうちに、次第に眩暈はでなくなり、やがて消失します。

4
聴覚症状は出ない

 眩暈発作が起こるとき、軽い吐き気を伴うことがありますが、耳鳴りや難聴が一緒に起こることはありません。

 このように、良性発作性頭位眩暈症では、難聴や耳鳴りなどの聴覚症状を伴わないのが特徴です。

5
予後

 この病気の予後は良好で、約2~3週間で治ることがほとんどです。

6
平衡機能検査

 平衡機能検査では、立ち直り検査や偏き検査、温度眼振検査などは正常なことが多く、身体全体のバランスが悪くなることもありません。

7
他の眩暈との鑑別

 良性発作性頭位眩暈症は、頸部眩暈や中枢眩暈と鑑別されます。

 ここでの鑑別とは、良性発作性頭位眩暈症は、メニエールや頸部眩暈、中枢眩暈などのような重症の眩暈ではなく、そのようなものとは区別される、あくまでも良性のめまいであるという意味です。



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cause
〔中耳・内耳の構造と機能〕

 耳の重要な機能を果たす内耳は左図で示すように複雑な構造をしています。

 内耳は聴覚器官である「蝸牛」と、平衡器官である「前庭」という二つの部分から構成されています。

 蝸牛は渦巻き型をした器官で、内部をリンパ液で満たされています。

 蝸牛内にはコルチ器と呼ばれる部位があって、ここには産毛のような小突起(感覚毛)を有する数多くの有毛細胞が存在し、リンパ液の中に伸びています。

 外耳道からの音波信号は、鼓膜からツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という三つの耳小骨を経て、内耳の前庭窓に伝播され、前庭・蝸牛に入り、このリンパ液と有毛細胞に伝達されます。

内耳構造

 蝸牛内の有毛細胞(感覚毛)は、その存在する場所ごとに特定の周波数の振動に反応し、神経インパルスを生成します。

 そして、そのインパルス信号は、蝸牛神経を経て脳へと伝達され、音として認識されます。

 一方、平衡感覚を担う器官である前庭には、頭の回転を感知し身体のバランスを保つ上で重要な役割を果たす「三半規管」があります。

 三半規管は、三つの半規管「前半規管」「後半規管」および「外半規管」とから構成されていて、互いに直角に交わった構造をもっています。

 上図では示しておりませんが、前庭には更に「卵形嚢」および「球形嚢」と呼ばれる部位から成る「耳石器」があります。

 耳石器は、多数の短い毛が密生し、その先端部に微小な石(耳石)が載った構造をしています。耳石は炭酸カルシウムでできた微小な石で、この微小な耳石が揺れることで、重力や直線加速度を感知します。

 頭を動かすと、三つの半規管内のリンパ液も動き、これにつれて有毛細胞が神経インパルスを生成して信号が脳に伝達されます。

 頭の動く方向に対応したひとつの半規管内のリンパ液の動きが他の二つの半規管内での動きより大きくなるので、脳は頭の回転を認識できます。

 このように、前庭と三半規管の機能により、脳は頭の回転と身体の直線運動、加速度を認識でき、身体のバランスを保つ動作をすることができるようになるのです。

〔良性発作性頭位眩暈症の原因〕

 前庭器官にある耳石器に載っている多数の耳石が、何らかの原因で、本来の位置から外れてしまい、半規管の内部で浮遊したり、半規管内のクプラと呼ばれる部位に付着することがあります。

 この状態で頭を動かすと、耳石が三半規管を異常に刺激するために、めまいを感じるようになります。

 このように、良性発作性頭位眩暈症は、前庭内にある耳石が外れて、三半規管の中に入り込んで、三半規管を刺激するために発症します。

 従って、何らかの方法で半規管内に入り込んだ耳石を出してしまえば、めまいは完全になくなります。

 前庭から耳石が外れてしまう原因には、頭の向きを急激に変えようとしたときや外傷によるものなどがあります。

 ・寝返りをうったとき
 ・ベッドから起き上がったとき
 ・急に上や下を向いたとき
 ・頭部外傷
 ・頭部衝撃・打撲
 ・加齢によるホルモン異常の影響


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Diagnosis
〔良性発作性頭位眩暈症の診断〕

 良性発作性頭位眩暈症の診断方法には、「病歴からの診断法」と「検査からの診断法」とがあります。

 病状によっては、めまいの起こる他の病気と鑑別するための診断も必要となることがあります。

 基本的に、良性発作性頭位眩暈症では、めまいが起こる頭の位置で眼振が現れ、次第に増強、減弱します。

 ほとんどの場合、聴力検査、温度眼振検査で異常を認めることはありません。

〔病歴からの診断〕

 下記の表の 1、2、3 が存在するとき、「良性発作性頭位眩暈症の疑い例」と診断されます。

良性発作性頭位眩暈症の疑い例
1 めまい頭位  特定の頭位をとると、回転性ないしは動揺性のめまいがおこる。

2 増強・減弱・消失  めまいはめまい頭位において次第に増強し、次いで減弱ないし消失する。

3 同一頭位で軽度化  引続いて同じ頭位をとると、めまいは軽くなるか、起こらなくなる。

4
難聴など出現しない  難聴、耳鳴、体のふらつきは自覚しないことが多い。


〔良性発作性頭位眩暈症の検査からの診断〕

 フレンツェル眼鏡下で、仰臥位より左・右側臥位の頭位変化と、坐位より懸垂頭位への頭位変化とを行わせ、出現する眼振の性状とめまいの有無を検査します。

 懸垂頭位というのは、仰向けに寝た状態で、頭部を思い切り下げた姿勢をいいます。

 フレンツェル眼鏡というのは、内部に小さな電球がついた凸レンズのメガネです。

 このメガネを装着すると、患者からは何も見えないのですが、医師からは患者の目の動きがよく分かるようになっていて、頭を動かしたときの眼振の様子が調べられます。

 眼振というのは、眼球が不随意に小刻みに揺れ動く状態のことです。

 良性発作性頭位眩暈症に特徴的な眼振パターンは、坐位より懸垂頭位への頭位変化によって出現することが多いとされます。

 下記表の 1、2、3 が存在するとき、「良性発作性頭位めまい症」と診断されます。

良性発作性頭位眩暈症の検査からの診断法
1 眼振発生  めまい頭位においては、眼振(回旋性成分の強い)が数秒の潜時をおいて出現し、次第に増強し、次いで減弱ないし消失する。

2 めまいの自覚  患者は眼振の出現に伴って、めまいを自覚する。しかし、同時に難聴、耳鳴を自覚することはない。

3 繰り返すと減弱  引続いて、めまい頭位をとらせると、眼振とめまいの出現は明らかに減弱する。

4 反対方向の眼振出現  めまい頭位より坐位または仰臥位に戻したときに、反対方向に向かう、主に回旋性の眼振が出現することがある。

5 聴力など異常なし  聴力検査、温度刺激検査において異常所見をみないことが多い。

6 中枢神経症状なし  直接の関連をもつ中枢神経症状を認めない。



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treatment
〔良性発作性頭位眩暈症の治療方針〕

 良性発作性頭位眩暈症の疑いがあって受診した時点で、眼振が認められるときや発作が頻繁に起こるときは後に述べるような「理学療法」が行われます。

 基本的に、この病気は良性であり、通常は比較的早期にめまいの症状はなくなります。

 この病気は、めまいが出るからといって安静にしているとなかなか治癒しません。一番良い方法は、めまいが出る頭の位置・姿勢を積極的にとり、何度もめまいを経験することです。

 繰り返すのは苦痛かもしれませんが、通常なら何度も繰り返すうちに自然に改善し完治します。

 理学療法がうまくいって症状が改善されるか、消滅した場合は治療は終了です。理学療法がうまく効果を発揮しない場合は、「薬物療法」を行うこともあります。

 また、理学療法がまったく効果を発揮しないで眩暈(めまい)の症状が反復して起こる場合には、手術が行われることもありますが、極めて稀なケースです。このような場合、手術を検討する以前に、この病気と同様な症状であっても、内耳障害ではなく脳障害の場合があるので、専門医の診断が必要となります。

〔良性発作性頭位眩暈症の理学療法〕

 典型的な良性発作性頭位眩暈症は、後半規管障害型と呼ばれる原因により起こります。

 基本的には、この病気の理学療法は、後半規管内を浮遊する耳石などの物質に加速度を加えて半規管から排出させようとする治療法です。

 理学療法には「エプレイ法」「パーンズ法」および「セモン法」などの方法があり、半数以上の患者では1回の手技だけで完治する有用な治療法です。

 これらの理学療法を行うには、どちらの耳が障害を受けているか明確に診断されていなくてはなりません。

 頭位変換眼振検査がうまく行えず、どちらの耳に障害があるか分からない場合の治療法として「ブラント・ダロフ法」があります。

 この療法では、上記3つの理学療法のような劇的効果は期待できませんが、患者が自宅で行うことができます。また、3つの理学療法を1回行っただけで完治できなかった場合にも患者が自ら応用することができます。

良性発作性頭位眩暈症の理学療法
エプレイ法

 エプレイ法は、三半規管内の耳石浮遊物を前庭部分の卵形嚢に戻す方法でありとても有効な治療法です。この方法は「浮遊耳石置換法」と呼ばれます。

 エプレイ法は、1回の手技が15~30分くらいで済み、1回だけでも効果があります。1回の実施で90%以上の人でめまい症状がなくなります。めまいがなくなるまで、1日3回くらい行います。

 頭をどちらの方向に向けたときめまいがでるかにより方法は逆になりますが、ここでは、右側に向いたときにめまいが出る方に対するやり方を示します。左側を向いたときにめまいが出る方は、左右を逆にして同じことを行います。

 エプレイ法を行う際には、最初から最後まで、目はしっかり開けたままの状態で行ってください。(もちろん、瞬きするのは問題ありません。)

エプレイ法の手順(右耳に障害がある場合の例)
〔準備〕

 あらかじめ、エプレイ法を試みる前に、ベッドの上に仰向けになって寝てみて、枕が頭の下ではなく、肩の下にくる位置にセットしておきます。

 つまり、仰向けに寝ると頭が枕よりガクンと下がるような位置に枕があるようにします。

〔ステップ1〕

・ベッドの上で両足を揃えて前に伸ばして座ります。

・頭を右に45度向けます。

〔ステップ2〕

・首は右向き45度のまま、仰向けに寝ます。

・肩は枕の上に来ているので、頭をベッドに垂らします。

・そのままの姿勢で30秒間待ちます。

〔ステップ3〕

・頭は垂らしたままの状態で左に90度回転させます。

(右45度捻った状態から左45度捻った状態に変わります。)

・そのままの姿勢で30秒間待ちます。

〔ステップ4〕

・頭と体を左へ90度動かします。

・顔はやや下向きになります。

・そのままの姿勢で30秒間待ちます。

〔ステップ5〕

・ベッドの左側に足を垂らして座ります。


パーンズ法

(調査中)

セモン法

勢いよく体位を変換することで結石を動かします。(詳細調査中)

ブラント・ダロフ法

(調査中)


〔良性発作性頭位眩暈症の薬物療法〕

 この病気では、薬物療法と呼ばれるほどのものはありませんが、眩暈を抑制する薬があります。

 一般に使用される良性発作性頭位めまい症の薬物には、内耳の機能を改善するための「抗めまい薬」や「脳循環改善薬」、めまいに伴う吐き気などを抑える医薬などがあります。

 めまいが、また出るのではないかという不安・恐怖心が強い人には、心理的不安を取り除くための抗不安薬などが投与されることがあります。

良性発作性頭位眩暈の治療薬処方例
抗めまい薬

メリスロン

脳循環改善薬

アデホスコーワ

ビタミンB12製剤

メチコバール:末梢神経障害に効果がある。

抗ヒスタミン薬

頓服でトラベルミン:内耳迷路と嘔吐中枢に選択的に作用するため末梢性めまいや乗物酔い効果がある。


〔良性発作性頭位眩暈症の手術療法〕

 難治性の場合は、手術により半規管を充填する方法などがありますが、この療法が行われるのは極めて稀なことです。

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