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[ Physical Illness ]

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がん患者と家族
〔がん患者と家族〕

がんの告知をうけたら
自分ががんになったら
家族ががんになったら
セカンドオピニオン
インフォームドコンセント
手術の準備・心得
手術後の機能回復
退院後の生活
がん再発防止・予防
終末期緩和ケア
がん医療費・公的負担

〔自分ががんになったら〕

 人は誰でも何かの〔がん〕に罹る可能性があります。

 〔がん〕には初期の段階から何らかの自覚症状があるものと、全く自覚症状が出ないものとがあります。

 自覚症状から病院で診断してもらった場合や、健康診断時などに突然、自分が〔がん〕に罹っていると告知されたら、それは心身両面での大きな打撃・ストレスとなります。



 最近では、状況はかなり変わってきて、〔がん〕になっても早期発見ができれば助かることが多いです。

 しかし、突然がんの宣告を受けると、「がん=死」という固定観念があるためにとても激しい衝撃・ショックを受けてしまいます。

 こんなとき、一体どうしたらよいのでしょうか。

 最初に襲ってくるストレスは、「不安」と「落ち込み」です。家族にはどう話そう、学校や会社にはどう説明しようと悩んでしまいます。

 よりによってどうして自分ががんに罹らなくてはいけないのかとやり場のない怒りも湧いてきます。

 自分が〔がん〕だと通告されて、不安や落ち込みのために日常生活に支障がでるようなとき、ストレスを和らげ、心をケアしてくれる専門家がいれば助かります。

 このページでは、自分自身のがんの宣告を受けたとき、どのようなショックが襲うのか、どのようにして立ち直ることができるのか、専門家による心のケアとはどんな風に行われるのかなどを考えてみます。

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がんと心
〔不安と落ち込み〕

 突然のがんの告知により患者の心は計り知れないショックの後に、不安と落ち込みが襲ってきます。

 それはその日、次の日、数週間後になっても治まることはなくいつまでも心から離れなくなってしまいます。

 最初に起こる反応は、突然胸が苦しくなったり、息苦しくなったりという症状からはじまり、いろいろな身体の変調を続きます。

 次のような不安の数が多くでるときは、自分だけで悩むのではなく、専門家によるケアが必要です。

不安と落ち込みの症状
心の状態 ・心配事がどうしても頭から離れない。
・ちょっとしたことでいらいらし怒りっぽくなる。
・何事にも集中できなくなる。
・いつでも緊張した状態が続き、リラックスできずに心も体もくたくたになる。
・考えたくないのに嫌なことを考えてしまう。

体の状態 ・冷や汗が流れる。
・眠れない、不眠症になる。
・突然胸が苦しくなる。
・息苦しくなる。
・吐き気が襲ってくる。
・だるく、疲れ易くなる。
・めまいや動悸が治まらない。

落ち込み ・気持ちが落ち込む。
・食欲が無くなる。何を食べても美味しくなくなる。
・物事が何も決められなくなる。
・何をしても楽しめなくなる。
・自分を責めてしまう。
・生きるのが面倒になってしまう。


 がんの告知を受ければ誰でも不安になり落ち込みますが、それは当然のことです。

 しかし、多くの人では告知後数日から数週間で、それらのショックを乗り越えて深刻な状況に適応しようとします。

 自分の置かれた状況を認識した上で徐々に落ち着いてくるものなのです。

 もしも、それ以上の期間が過ぎても、あまりに辛い日々が続き、日常生活に大きな支障がでてくるようなら、「適応障害」や「うつ病」などに陥っている可能性があります。

 このような状態が続くときは、できるだけ早く精神疾患の専門家の治療を受けることが必要です。

 適応障害やうつ病は、適切な治療により必ず治る病気ですから、思い切って専門家と相談するとよいです。

精神的治療が必要な症状
適応障害  強いストレスが切欠となり、不安や落ち込みにより日常生活に大きな支障が出て、非常に強い精神的苦痛がいつまでも続いてしまう状態をいいます。

 適応障害の更に詳しい情報は「適応障害」を参照してください。

うつ病  適応障害よりも更に強い精神的苦痛が継続し、告知から数週間が経過しても、落ち込んだままどうしても回復できない状態です。

 うつ病の更に詳しい情報は「大うつ病性障害・うつ病」を参照してください。



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心のケア
〔自分でできること〕

 昔なら、「がん=死」という時代もあり、それが頭から離れない人も多くいます。そのため、心配のあまりうつ病状態になったりするのです。

 しかし、現在の医学は、多くのがんに対して効果的な治療ができるようになっているのです。

 ですから、希望を捨てることなく、先ずは自分の信頼する家族や友人などに、心で悩んでいることを話すことが大切です。

 それにより、状況の分析と整理ができ、次第に心も穏やかになってきます。

 がんの病気のことをもっと知りたいときは、インターネットで調べたり、患者図書館とよばれるような施設があればそれを利用したり、あるいは同じ悩みを持つ人たちと互いに話し合うのと、気持ちもやわらぎ、病気を克服するための意欲も湧いてきます。

 このコーナーの別ページでご説明している「がん診療連携拠点病院」の「相談支援センター」に声を掛ければ、多くの冊子もありますし、あなたの悩みや不安の相談にのってくれる人がおります。

 病気と闘っている人はあなたひとりだけではないのです。一緒になって頑張ってくれる仲間たちがいるのです。

〔心のケアの専門家〕

 不安や心配や落ち込みが数週間以上も継続して、適応障害やうつ病状態になってしまったら、心のケアの専門家に相談しましょう。

 このような症状も病気の一種ですから、適切な治療できっとよくなり、平穏な日々をすごせるようになります。

 精神治療の専門家というと、特別な精神の病気に罹った人だけがお世話になるというように考えてしまうことも多いのですが、実際には決してそんなことはありません。

 不安や落ち込みのような症状だけでなく、よく眠れない人や、対人関係のストレスに悩む人など、多くの人が気軽に相談にのってもらっているのです。

 通常の医療機関では、心のケアを担当するのは、精神科や心療内科の医師、心理士、心の問題専門の看護師、ソーシャルワーカーなどが窓口となります。

 また、大きな施設では、「精神腫瘍科」という、がんに関連した心の問題を専門とする部門もあります。

 また、がん診療連携拠点病院には、心のケアの専門家の他、体の辛い症状などの問題にも対応する緩和ケアチームなどがありますから、そこに相談することも可能です。

 がんの患者やその家族の一番大きな問題は、不安と落ち込みをどうしたらよいかという点です。

 家族や友人のほか、専門家との話し合いをすることで、問題点を整理することができるようになり、気持ちもリラックスしてきます。

 専門家に相談すれば、適切なカウンセリングを受けたり、必要なら医薬による治療を受けることも可能です。これにより辛いストレスを和らげることができます。

〔専門家への相談〕

 がんの告知をしてくれた担当の医師や看護師にあなたのストレスや心配事など、現在の気持ちを話しましょう。

 そうすれば、医師や看護師は必要があれば、心のケアの専門家に紹介してくれます。

 また、最寄の「がん診療連携拠点病院」内の「相談支援センター」でも専門家によるアドヴァイスを受けることができます。

 専門の医師によるカウンセリングや治療の費用には、健康保険が適応されますので安心です。

〔専門家による心のケア〕

 専門化が行うケアの中心は「カウンセリング」です。

 専門家は患者の辛い気持ちや悩み、心配事などをよく知っていて適切なカウンセリングをしてくれます。

 ですから、安心して病気の心配や、家族のこと、会社のこと、地域のことなどを話しましょう。

 言葉で悩みなどを話すことで、気持ちの整理がつき楽になります。

 がんと心の関係についての理解が深まり、いままでの誤解からくる心配や、辛さが緩和されることもあります。

 たとえば、「がん=死」などという考えは多くの場合、誤解に過ぎないのです。

 人それぞれは、話が好きだったり、苦手だったりするものです。ですから、専門化との話は、何も多く話す必要はありません。

 正直な気持ちを話して専門家の話を聞き、心配や疑問を解くようにするのが大切です。

 尚、専門家とお話になった内容については、他の人に知られることは決してありませんのでご安心ください。

〔リラクゼーション〕

 ケアの専門家や経験のある看護師などの指導を受けると、リラクゼーションを行うことができます。

 リラクゼーションというのは、自分の心身を意識的にリラックスさせる方法です。リラックスすれば、自然と不安も和らぎ、穏やかな日々が過ごせるようになります。  告知を受けたばかりの頃は、気持ちもガチガチになり、心も体も変調を来たします。

 専門化の指導に従って、リラックスの方法をマスターできるようにしてみましょう。

 リラックスする方法は少しの練習が必要ですが、一度覚えれば自分だけでできるようになります。

〔薬物療法〕

 カウンセリングやリラクゼーションだけでは、心の落ち着きが得られない、あるいは眠れないなどというときには、医師は薬物療法をしてくれることがあります。

 薬物療法で使用される医薬には、「睡眠導入剤」や「抗不安薬」「抗うつ薬」などがあります。

 何よりも先ず、眠れることが大切ですので、必要ならこのような薬物療法を受けてみましょう。

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