〔脊髄腫瘍〕は、腫瘍の存在部位と脊髄および硬膜との位置的関係から、〔髄内腫瘍〕〔硬膜内髄外腫瘍〕および〔硬膜外腫瘍(脊椎腫瘍)〕の三種類に分類され、悪性腫瘍と良性腫瘍とがあります。
髄内腫瘍 |
脊髄内部に発生する腫瘍。
|
硬膜内髄外腫瘍 |
硬膜の中にあるが、脊髄の外に存在する腫瘍。
|
硬膜外腫瘍 |
硬膜の外に存在する腫瘍。
|
〔脊髄腫瘍〕は、その種類によって特徴があり、〔髄内腫瘍〕の経過はよくありませんが、〔硬膜内髄外腫瘍〕は、一般に良性であり手術で摘出できます。
〔硬膜外腫瘍〕は、他の臓器で発生したがんが転移してきたがんであることが多く、多くは悪性腫瘍です。
全体的には、脊髄腫瘍の60~65%は良性の腫瘍です。
どの年代でも発症しますが、40歳代に発生のピークがあり、特別な男女差はありません。
腫瘍は緩やかに増大するため、自覚症状が出てくる時点ではかなり大きくなっている場合が多いです。
〔脊髄腫瘍〕により脊髄と神経根が圧迫されると、初発症状としては限局的な痛みや神経支配領域にそった放散痛が現われます。
腫瘍が頚椎にあれば上肢症状、腰椎にあれば下肢症状を伴います。
脊髄が圧迫されると、腰痛や進行性麻痺、圧迫部位から下部での感覚低下、膀胱や腸の調節機能消失、性的不能が起こります。
極端な場合には、脊髄での血行が悪くなり組織が壊死したりもします。
神経根が圧迫されると、対応部位の筋肉の痛みや痺れ、違和感、筋力低下が起こります。
〔脊髄腫瘍〕の検査は、X線検査の他、MRI、CT検査などで容易に行えます。
脊髄と脊椎での腫瘍は、手術で切除できます。それ以外には、放射線療法などがあります。
|