[ Diagnosis of Sleep Apnea Syndrome (SAS) ]
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Typical diagnostic method
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睡眠時無呼吸症候群の検査・診断方針
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家族などの証言により、いびきのひどい、睡眠中の呼吸停止があるなど睡眠時無呼吸症候群の典型的な症状が指摘されたり、夜間頻尿や睡眠時の中途覚醒があるなどの場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあります。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、専門の医療機関では、患者の睡眠状態や自覚症状などについて問診し、もしもSASの疑いが強くある場合には、その後の検査方法を決定します。
患者に一晩だけ入院してもらい、「簡易検査」あるいは「終夜ポリグラフィ」という方法を用いて、夜間の睡眠時の状態を測定・検査して診断します。
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簡易検査
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簡易検査は、簡易的に睡眠中の呼吸状態を測定する検査です。緊急的に検査したい場合や、終夜ポリグラフィの正式検査実施前に予備的に調べる際に行うことがあります。
場合によっては、この検査は入院することなく自宅で行うこともできます。
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終夜ポリグラフィ
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終夜ポリグラフィは、「睡眠ポリグラフ検査」とか「睡眠ポリソムノグラフィ検査」と呼ばれることもある検査方法です。終夜ポリグラフィ検査では、患者の夜間の睡眠時の状態として、眠りの深さ、睡眠の質、呼吸状態を同時に測定します。
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これらの状態を詳細に検査するため、いろいろな測定器を身体に装着して検査します。装着する機器は、脳波計、心電図あるいは眠電図、胸部・腹部の動きや鼻からの気流を図る機器、動脈血中の酸素濃度計測器などです。
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睡眠ステージ
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睡眠中の脳波、心電図・眠電図、頤筋筋電図により睡眠ステージを測定します。
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呼吸パターン
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口や鼻の気流、胸や腹部の動きにより呼吸パターンを測定します。
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酸素飽和度
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パルスオキシメーターにより経皮的動脈血酸素飽和度(Sp02)の測定をします。これは呼吸により血中酸素が十分に供給されているかどうかの測定です。
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SASの重症度診断
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医師は、終夜ポリグラフィ検査の結果を総合的に判定して診断を下します。データによりSASの重症度が判定されます。
判定は、AHI(無呼吸低呼吸指数)の値により行われます。夜間睡眠期間中の1時間当たりの平均の無呼吸数と低呼吸数を計算し、合計したものがAHIです。無呼吸は10秒以上換気が停止した状態であり、低呼吸は換気が50%以下に低下した状態です。
AHI
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重症度
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4以下
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問題なし |
5~14
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軽度のSAS |
15~29
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中等度SAS |
30以上
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重度SAS |
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睡眠時無呼吸症候群の治療方針
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AHIの値が20以上であれば、すぐに死に繋がることは無いとしても、一般的に早急な治療が必要だとされています。最近の医学の進歩には目覚しいものがあり、適切な治療法を選択すれば確実に改善できます。
SASの治療法としては、「減量療法」「マウスピース療法」「持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)」「外科手術療法」「対症療法」「生活習慣の改善」などがあります。特に、シーパップ療法は非常に優れた方法として全世界で推奨される療法です。
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減量療法
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多くの場合、肥満が原因でSASになっている人がいます。この場合には、減量すれば改善が一定の効果が期待できます。減量により上気道周辺の脂肪の重さによる狭窄を改善できるからです。
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持続陽圧呼吸療法
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持続陽圧呼吸療法とは「CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法」あるいは「シーパップ」とも呼ばれる特に優れた方法です。
CPAP療法では、専用の加圧機器を用いて、鼻に装着したマスクに空気を送り込み、圧力をかけ、その空気が舌根周囲の空間を拡げることで、呼気時の気道狭窄を防止する方法です。
この方法は、睡眠時無呼吸症候群に対する根本的治療ではありませんが、現在では最も有効で、しかも信頼がおける療法となっています。CPAP療法を用いると、睡眠中に気道が閉塞することがなくなり、無呼吸や低呼吸状態による酸素不足が解消されて睡眠の質を高度に向上できます。
また、睡眠時無呼吸症候群で最も心配な、合併症である高血圧症や狭心症・心筋梗塞などが発症する危険性を大きく低減できます。CPAP療法の効果は使用を開始すれば即日的に実感できるようになります。
CPAP療法は、非常に簡単で確実な効果もあり、しかも特別な副作用もないのですが、あくまでも睡眠時無呼吸症候群に対する対症療法であるため、真の原因が除去されない限り、この方法を継続し続ける必要があります。
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マウスピース療法
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マウスピース療法は「スリープスプリント療法」とも呼ばれる療法です。自分専用用の精密なマウスピース(スリープスプリント)を用いて、下顎を前進させた状態で固定し、気道の狭窄を防止する方法です。
このスリープスプリントによる療法は2004年から健康保険適応となりました。
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外科手術療法
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外科手術によりSASを改善する療法もあります。外科手術には、「UPPP:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術」「LAUP:レーザー手術」および「扁桃摘出術」などの方法があり、一定の効果があります。
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生活習慣の改善
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無呼吸症候群の患者がタバコを吸うと、喉の粘膜を傷め、血中酸素濃度を低下させるなどして無呼吸を悪化させる要因となるので、喫煙は厳禁です。
また、健常者であれば、睡眠前の少量のお酒は寝つきを良くするなどといわれますが、SASの患者に対しては、いびきの原因を助長することになるので、就寝前数時間の飲酒は止めた方がよいです。
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