ブドウ球菌はさまざまな感染症を引き起こしますが、〔皮膚感染症〕や〔尿路感染症〕〔肺炎〕〔心内膜症〕など身体の一部に限定して発症する感染症や、中毒性の症候群などがあります。
〔糖尿病〕や〔肺疾患〕〔静脈や動脈疾患〕〔がん〕などの慢性疾患を患っている人や新生児、授乳中の女性なども罹りやすくなります。
静脈内カテーテルなどを体内に留置する人では、カテーテルから菌が侵入して菌血症を引き起こすこともあります。
ブドウ球菌は、体のあらゆる部位に感染し異なる症状を呈します。
膿瘍(膿のかたまり)をつくり易く、その範囲は皮膚だけでなく内臓にも及びます。
感染症の症状は、軽度なものから生命の危険に及ぶものまで様々です。
皮膚感染症 |
ブドウ球菌は皮膚に感染する傾向があり、多くの皮膚病を発症します。
広い範囲で皮膚が剥ける病気で、ブドウ球菌による皮膚感染症の中で最も重い病気です。
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新生児の熱傷様皮膚症候群で広い範囲で皮膚が剥ける重大な病気です。
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乳房のブドウ球菌感染症です。分娩後1~4週間して起こり、患部は赤く痛みます。乳房の膿瘍から母乳を通して乳児に感染することもあります。
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毛根の感染症で毛の根元に小さな白い吹き出ものができます。少し痛みます。
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浅い水疱がつぶれて周りに黄色いかさぶたができ痒みと痛みがあります。
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皮下にできる膿の塊で発熱と痛みがあります。
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皮下に広がる感染症で患部が赤くなり痛みもでます。
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ブドウ球菌性肺炎 |
ブドウ球菌性肺炎は、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性肺疾患がある人やインフルエンザに合併して起こる重い感染症です。
高熱が出て呼吸が速くなったり呼吸困難となり、血痰混じりの咳がでます。肺に膿瘍をつくることもあります。
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心内膜症 |
ブドウ球菌が血流に侵入すると、心臓で心内膜炎を起こします。短期間で心臓弁を侵して心不全の危険が強くなります。最悪時には、呼吸が弱く苦しくなり死にいたります。
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ブドウ球菌性骨髄炎 |
ブドウ球菌が血流に侵入し骨にいたると骨髄炎を起こすことがあり、骨の痛みの他、悪寒と発熱があります。皮膚も赤く腫れ、近傍の関節には水が溜まります。
このブドウ球菌性骨髄炎は小児に多くみられます。
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ブドウ球菌性食中毒 |
ブドウ球菌の中で毒素を産生するタイプは、ブドウ球菌性食中毒や毒素性ショック症候群を呈することがあります。
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ブドウ球菌性菌血症 |
重度の火傷にブドウ球菌が感染すると菌血症を起こします。高熱が続き、ショックを起こしたり、最悪死亡することもあります。
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尿路感染症 |
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