ハンセン病は、人獣共通感染症として知られていますが、その原因菌であるらい菌は、自然界ではヒト、霊長類(マンガベイマンキー)、およびココノオビアルマジロのみに感染します。
ヒトへのハンセン病の感染は、菌を大量に排出するハンセン病患者の鼻汁や組織滲出液が経鼻・経気道内に侵入して起こります。
その他、直接的な接触感染も起こりますが、伝染力は非常に弱く、接触すれば必ず感染するわけではありません。
らい菌と接触する人の95%は、自然免疫で感染・発症を防御できるからです。
発病する場合は、「類結核型」のような軽いものから、「らい腫型」のような重いものまでさまざまです。
類結核型に感染性はありません。現在では、ハンセン病は、感染したとしても、早期発見早期治療すれば完治可能であり、後遺症が残ることもありません。
ハンセン病の潜伏期間は、3~5年とされています。しかし、10年に及ぶ例もあります。
ハンセン病の原因菌であるらい菌は、緩やかにしか増殖しないので、発症してからの進行も緩やかです。
症状は、主に皮膚と末梢神経障害として現れます。皮膚には、特徴的な発疹ができ隆起がみられます。
末梢神経が侵されると、その神経の支配下にある範囲の皮膚に感覚がなくなり、筋力も低下します。
ハンセン病の症状は、皮膚に現れる斑の数や形状により、次の三つに分類され、これにより長期的な経過、予後、合併症、抗生物質による必要治療期間が異なってきます。
・類結核型
・らい腫型
・境界型
現在、ハンセン病の新規患者数は、全世界では25万人ほどいますが、日本での新規患者が出ることは極めて少なく、年間0~1人だけです。
類結核型 |
類結核型では、白くて平らな部分が少数個ある発疹が現れ、その部位では、細菌が皮下神経を侵すため、感覚がなくなります。
|
らい腫型 |
らい腫型では、多数の小さな隆起や、より大きく盛り上がった大小さまざまな形の発疹が現れます。
類結核型より無感覚となる範囲が広くなり、一部筋肉に脱力感が現れます。
|
境界型 |
境界型は、類結核型とらい腫型の両方の特徴をもちます。
放置により症状が改善すれば類結核型になり、悪化すればらい腫型に似た状態になります。
|
|