この菌に感染すると、ヒツジやヤギでは乳頭炎を起こします。
ヒトへは感染している動物との接触や排泄物、チーズや食肉製品などで汚染された乳畜産食品の摂取などにより腸管から感染します。
動物の排泄物で汚染された野菜などからの感染も指摘されています。
〔リステリア症〕の潜伏期間は、感染者の健康状態、摂取した菌の量、菌株の種類などにより大きく変わり、数時間~3週間程度と幅が広くなっています。
健常者では、感染しても無症状のまま経過することが多いですが、感染初期に倦怠感、や軽度の発熱を伴うインフルエンザの様な症状を示すことがあります。
しかし、高齢者や乳幼児、何らかの疾患により免疫力の低下している人、妊婦が感染した場合には、重篤な症状となることがあります。
〔リステリア症〕の最も典型的な症状は、38~39度Cの発熱と頭痛、悪寒、嘔吐などを伴った髄膜炎が最も多く、意識障害や痙攣を起こすこともあります。
更に、敗血症、心内膜炎,肺炎などの多発性膿瘍を起こすこともあり極めて高い致死率を示します。
〔リステリア症〕は、食品媒介性の感染症ではありますが、細菌性食中毒に典型的な急性胃腸炎症状を示すことはありません。
妊婦がリステリアに感染した場合には〔周産期リステリア症〕と呼ばれます。感染した母親は不顕性感染~軽症で済みますが、胎児に垂直感染することがあり早産や死産の原因となります。
出産後、胎児が肉芽腫、脳腫を形成し中枢神経症状を伴う水頭症や精神障害、運動障害などを残すこともあります。
この病気は子供に感染しやすい特徴があり、新生児や5歳未満の小児がよく感染し〔乳児・小児リステリア症〕となります。男児の方が女児よりも感染しやすい傾向があります。
尚、この病気の原因菌であるリステリア・モノサイトゲネスは英語では「Listeria monocytogenes」と呼ばれます。
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