[ Symptom of Mastitis ]
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Typical symptoms
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基本的に乳腺炎は、乳首や乳輪部などにできた傷口からの細菌感染で起こるものと、出産後、乳汁ができるのにうまく排出できず乳腺内に溜まってしまい炎症を起こすものとがあります。
乳腺炎のうち、細菌感染による乳腺炎には「急性乳腺炎」と「乳輪下乳腺炎」という二つの種類があります。そして、乳汁が乳腺内に溜まってしまう乳腺炎に「うっ帯性乳腺炎」があります。
乳腺炎には一般的な症状として、身体にでる症状と母乳にでる症状とがあります。これらの症状のひとつでも思い当たることがあれば、乳腺炎になっている心配がありますので、早めに受診することをお勧めします。
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乳腺炎の一般的症状
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乳腺炎の一般的症状として「身体にでる症状」と「乳汁にでる変化」とがあります。
身体にでる症状
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乳腺炎になると症状は先ず身体にでます。赤ちゃんにお乳を吸わせると、おっぱいがチクチク痛む程度から気づくことが多いですが、この程度ならまだ軽症で乳腺や乳管の軽い詰まりの始まりです。
この程度なら、赤ちゃんにマメに飲ませるようにしたり、おっぱいのマッサージなどで解消できる段階です。
おっぱいの膨らみ部分のどこかが痛むときは、軽度の詰まりの状態から、乳腺の中に古い乳汁が溜まってしまい、細菌感染を起こしている可能性があります。
授乳後少し経ってから乳首から背中にかけて激痛が現れ、30分以上も痛みが続くことも多々起こります。このようなときは、乳首に白斑などの症状が起きている可能性があります。
白斑というのは、乳首に白色または透明の小さなおできや水疱ができたものです。これは乳腺やおっぱいの出口が詰まってしまい、母乳が乳首の外にでられなくなって起こります。吸われると乳首が痛むことがあります。
この段階でも乳房のマッサージで良くなることもありますが、炎症を抑えるための抗生物質の投与が必要になるかも知れません。
身体に現れる具体的な症状には次のようなものがあります。
・乳房の一部が固くなりしこりができる。
・乳房の一部が押さえると痛む。
・乳房の一部が熱を持つ。
・乳腺が赤く腫れて痛む。
・乳首に白斑が現れる。
・発熱や肩の凝り、頭痛、寒気がすることがある。
・膿瘍を形成し、乳汁に膿が混ざることがある。
・乳房に近い腋窩リンパ節に腫脹ができる。
・赤ちゃんを抱っこすると乳房が痛む。歩くと響いて痛む。
・腕を上げると痛む。
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乳汁の変化
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乳汁にも変化がでて、赤ちゃんが飲まなくなることがあります。古くなった乳汁が細菌感染などで乳房内で変質することがあるからです。
・搾ると半透明の白い母乳ではなく黄色みがかった母乳が出る。
・味を確かめてみると、しょっぱかったりして美味しくない。
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急性乳腺炎
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急性乳腺炎は、主にはじめて赤ちゃんを出産した女性が授乳を始めてから1~3週間後に発症することが多いです。赤ちゃんが吸い付いたり、かじったりして、乳頭(乳首)や乳頭周辺の乳輪部の皮膚が傷つき、そこから細菌が侵入して乳腺・乳管に炎症を起こすのです。
乳管内に溜まったお乳が細菌感染で腐敗し、その部分に膿瘍(おでき)できた状態です。
このような急性乳腺炎になると、乳房が赤く腫れて、激しい発熱を伴います。直ちに授乳を中止し、受診し、抗菌薬などでの治療を受けなければなりません。
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乳輪下膿瘍
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乳首の周囲で色素沈着している皮膚が乳輪ですが、この下におできができることが多く、これを乳輪下膿瘍と呼んでいます。
この症状は陥没乳頭に合併して起こることが多い疾患です。乳頭が陥没しているとその部分に垢などがたまり、細菌がついて感染するのです。
陥没乳頭とは、乳頭がへこんでしまっている状態をいい、特に珍しくはなく10%以上の成人女性に片側あるいは両側で発生します。ちょっと刺激すると膨らむ仮性陥没乳頭と、刺激しても突出しない真性陥没乳頭とがありますが、手術で治せます。
乳輪下膿瘍は、切開排膿で症状が軽減しますが、慢性化することもあるので乳首周囲を清潔に保つなど注意が必要です。慢性化してしまうと乳輪周囲に蜂巣炎、乳頭分泌、乳頭瘻孔というような症状を起こすようになります。
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停滞性乳腺炎
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停滞性乳腺炎は、「急性うっ血性乳腺炎」とも呼ばれ、乳汁が溜まったままになり乳房が赤くなり、硬く腫れて痛みが生じます。この場合は、揉みほぐすなどで乳汁が溜まらないようにすれば治ります。
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