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[ Physical Illness ]

* Brain & Nervous System Diseases *
Moyamoya Disease


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 〔もやもや病〕は、大脳へ血液を送る頚動脈が頭の中で閉塞したり、狭窄したりするために、脳の深い部分の細い動脈が新たに異常に多く作られる病気です。

 この様子がもやもやしていることから、〔もやもや病〕と命名されました。

 正式名は、〔ウィリス動脈輪閉塞症〕と言います。子供の場合は、大声を出したりすると言語障害や脱力症状がでたりします。

 大人の場合には、脳内出血を起こして片麻痺したり、意識障害がでたりします。



 発症年齢は明確な二峰性を示し、ヒストグラムには「小児型」と呼ばれる5歳の小児を中心とした高い山と、「成人型」と呼ばれる30~40歳代を中心とした低い山とが存在します。小児型と成人型ではその症状や発症機序が異なっています。

 また、もやもや病の1年間の発症率は人口10万人当たり約0.35人です。発症数の男女比では女性の方が男性より1.7倍ほど高くなっています。


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Overview

[ A disease called Moyamoya Disease ]

What kind of illness is it?

 もやもや病は日本で初めて発見された病気で、しかも日本人に多発する脳疾患です。正式名称はウィリス動脈輪閉塞症といいます。

 もやもや病は、頚動脈が頭蓋内に入った最初の部分の脳底部の血管網の左右両側に狭窄や閉塞が見られる脳血管障害で、脳深部の血流不足を補うために無数の異常血管が網目状に作られた状態を呈します。

 もやもや病では、脳血管の閉塞や狭窄のために、血液が不足する「虚血状態」となったり、異常血管がもろいために「頭蓋内出血」を起こしやすくなります。


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Symptom

[ Symptom of Moyamoya Disease ]

Typical symptoms

 小児型のもやもや病では、大声を出したり、熱い食べ物に急激に息を吹きかけるなどで過呼吸になったりすると、脳に十分な血液が供給されなくなる「虚血状態」となるために一時的に言語障害や、手足に力が入らなくなる脱力発作、痙攣、視力障害、意識障害などの症状が現れます。

 これらの発作は脳虚血発作(脳の血液が不足することによる発作)と呼ばれます。このような発作を繰り返していると、言語障害や知能障害などの後遺症が残ることがあります。

 成人型のもやもや病では、頭内の異常血管が破れることで、突然の頭痛や嘔吐に襲われ、脳内出血やくも膜下出血などの頭蓋内出血を引き起こします。


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cause

[ Cause of Moyamoya Disease ]

Typical Causes

 もやもや病は、脳内でどのようなことになっているかは分かっていますが、なぜそうなるのかという原因は不明の病気であり、厚生労働省の特定疾患で難病と指定されている病気です。

 脳への血液は左右の頚動脈と脳底動脈から供給されていますが、脳底ではこれらの血管が結合してウィリス動脈輪と呼ばれる連絡路を作っています。もやもや病では、このウィリス動脈輪付近の脳血管に詰まり(閉塞)や狭まり(狭窄)ができてしまう病気です。

 脳血管の閉塞や狭窄が起こると脳が必要とする血液量が不足するので、これを補い脳深部の血流を確保するために、無数の異常血管が網目状に新たに作られます。

 この状態を脳血管造影検査で撮影すると、タバコの煙のようにもやもやとした影像が見られることが、もやもや病の名称の由来となっています。


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Diagnosis

[ Diagnosis of Moyamoya Disease ]

Typical diagnostic method

 もやもや病の最新の診断法としては、MRA(核磁気共鳴血管撮影)、MRI(核磁気共鳴画像)による検査が行われます。MRA検査で、頭蓋内頸動脈終末部、前及び中大脳動脈近位部に狭窄や閉塞があり、大脳基底核部の異常血管網が両側性に認められれば、もやもや病と診断されます。


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treatment

[ Treatment of Moyamoya Disease ]

もやもや病の治療方針

 もやもや病は真の原因が不明のため、根本的治療法は確立されていません。具体的な治療法としては、出血はしていない虚血発作のみの場合と、出血した場合とでは対処が異なります。

 出血時の治療法としては外科手術しかありませんが、虚血発作時の治療法には、外科療法の他に薬物療法も行われます。

虚血発作時の治療法

 脳血管の閉塞や狭窄により、脳が必要とする血液量が不足して起こる虚血発作の治療法は、抗血症板薬や血管拡張薬による薬物療法が有効です。

虚血発作時の薬物療法

抗血症板薬

 脳虚血発作に対しての対症療法として、抗血症板薬を用いて血液を固まりにくくします。

血管拡張薬

 脳虚血発作に対しての対症療法として、血管拡張薬を用いて血管を拡げます。


 薬物療法では対処しきれない場合には、脳梗塞血管接着術、脳筋肉接着術、および脳血管バイパス術などの外科手術療法が行われます。

虚血発作時の外科手術療法

脳梗塞血管接着術

 小児の場合の治療法として、脳の血液の流れが滞っている虚血部分の血流を確保し、虚血発作を予防するための外科手術です。

 この手術では、頭皮にある動脈を硬膜に接着させ、血液豊富な組織を脳表面に接着させ、新しい血管がつくられるのを促して、脳内で不足する血液を補うようにします。この手術はEDASと呼ばれています。

脳筋肉接着術

 小児の場合の治療法として、脳の血液の流れが滞っている虚血部分の血流を確保し、虚血発作を予防するための外科手術です。

 血流を受け取るべき脳内動脈が未発達な場合、側頭部の筋肉を脳表面に接着させる脳筋肉接着術を行います。血流豊富な組織を脳表面に接着することで新しい血管が作られるのを促し、脳内で不足する血液を補うようにします。この手術はEMSと呼ばれいます。

脳血管バイパス術

 成人の場合の脳虚血発作には脳血管バイパス術による血行再建術が有効です。


出血発作時の外科手術法

 脳血管が破裂し出血してしまった場合には、開頭して「開頭血腫除去術」と呼ばれる血腫の除去手術を行うことがありますが、手術が成功するかどうかは不明確です。この手術はあくまでも救命と脳機能障害の軽減のために行われます。