本来、還元ヘモグロビンは、全身の静脈から大静脈に集まり肺に運ばれ、ここで酸素と結合して酸化ヘモグロビンとなり、今度は動脈を経由して全身に運ばれます。しかし、呼吸器疾患があると、還元ヘモグロビンがうまく酸化されない状態が起こる結果、チアノーゼの症状が現れてきます。次のような疾患が原因となります。
肺気腫
|
肺気腫は、呼吸細気管支と肺砲が拡張して破壊されてしまう疾患です。遺伝的要素もなしとはしませんが、非常に多くの場合、ベビースモーカーの中年以降の男性に多くみられる病気です。
自覚症状として、少し身体を動かすだけで、息切れや息苦しさ感じるようになり、咳や痰がでたり、体重が減少したりします。慢性的な息切れなどの呼吸困難を伴うようになり、身体を動かすとひどく、休憩すると少し回復します。
肺砲は、肺の中の重要な細胞で酸素と二酸化炭素を交換する組織ですが、拡張し破壊されてしまうと、最悪「ブラ」と呼ばれる重篤な呼吸機能障害に陥ることがあります。
肺気腫は発病してしまうと、喫煙を止めても進行は止まらず、もはや進行を止める手立てはありません。この病気になる前にタバコは止めることが最善の防御策です。
|
肺線維症
|
肺で酸素と二酸化炭素を交換している肺砲の数は数億個もありますが、「肺繊維症」は、この肺砲に繊維組織が増加し硬く縮んでしまった病気です。酸素・二酸化炭素のガス交換ができなくなり呼吸困難に陥ります。症状が進行して繊維化が広域になれば生命の危険に関わります。
初期には、労作時に息切れする程度から始まり、次第に進行すると、安静時でも呼吸困難な状態となります。痰のでない頑固で乾いた咳や、指の先端が広くなる「バチ状指」がみられるようになり、慢性的な酸素欠乏状態に陥り、チアノーゼが現れます。
職業的に大量のホコリに晒される人に起こる塵肺や、過敏性肺炎、膠原病、サルコイドーシス、突発性間質性肺炎等の病気が進行して引き起こされることが多い病気です。
酸素吸入やステロイドの投薬、抗生物質などで治療しますが、完全な治療は極めて困難です。
|
肺動脈狭窄症
|
肺動脈狭窄症は、右心室の出口、肺動脈弁、肺動脈自体が狭くなる病気で、全先天性心疾患の7~10%を占める、比較的発生頻度の高い病気です。
肺動脈の狭窄の部位は、「肺動脈弁の上部(主肺動脈)」「肺動脈弁」「肺動脈弁の下(漏斗部)」および「末梢の肺動脈」があり、部位や狭窄の程度により症状や経過は異なります。
軽度なものでは、ほとんど無症状であり運動制限の必要もない程度ですが、中等程度以上になると、疲れ易さや運動時の息切れ現象が現れてきます。新生児ではチアノーゼ現象が認められ、多呼吸やミルクの飲みが悪くなったり、体重増加が停滞するなどの、典型的な心不全症状が出現します。
軽度なものでは、特に問題はないですが、中程度以上のものでは運動管理や手術が必要となります。治療では「カテーテル」を挿入して狭窄を拡げるものと、外科的手術により狭窄を正常化するものとがあります。ほとんどの場合、手術をすれば、日常生活に支障を来たすようなことはなくなります。
|
無気肺
|
無気肺は、何らかの原因で肺組織に空気が供給されなくなり、肺がつぶれた状態になる病気です。
機能低下した肺の中で血液は流れ続けるので、血液中の酸素濃度が低下し、さまざまな酸欠症状が現れます。典型的な症状は、息切れからはじまり、心拍数の増加、呼吸困難、皮膚の色が紫色になるチアノーゼ症状などで、咳や胸痛も見られます。。無気肺は、喫煙者に発症リスクが高く、急性無気肺と慢性無気肺とがあります。
無気肺を引き起こす原因には、感染や強い炎症、外傷、先天性、気道の閉塞などがあります。通常は、一方の肺で起こるので、治療によっても改善しないときは、手術で肺の切除を行うこともあります。多くの場合、自宅での酸素吸入が必要です。
|
気管支の通過障害
|
|
高度の腹部膨隆
|
|