実際に分離された株は、全てメチシリンなど他の抗生物質に対する耐性も持つ、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であることが知られています。
VRSAは、もともと、MRSAによる感染症の治療薬として使用されるバンコマイシンに対して、耐性を獲得した黄色ブドウ球菌なのです。
MRSAからVRSAの発生が危惧されていますが、MRSAは健常者に発症することはまれな日和見感染症の原因菌であって、手術後の患者や高齢者、あるいは糖尿病などの基礎疾患のある患者などで、感染防御機能が低下した人に問題となる耐性菌です。
VRSAによる感染症は、基本的に〔黄色ブドウ球菌感染症〕と同様な症状になると考えられます。
特に、手術後の患者や高齢者、糖尿病患者などで感染防御機能の低下した人では、重篤な肺炎、腸炎、敗血症などの感染症症状を呈するようになります。
〔バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症〕は、現在までのところ米国で報告された3つの症例のみで、日本ではまだ報告はありません。
尚、この病気に関連する記号類は次のような意味を持っています。
抗生物質バンコマイシン(Vancomycin)
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バンコマイシンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌
(Vancomycin-Resistant Staphylococcus Aureus)
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
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