カタル期と呼ばれる発症初期の段階と咳が出現して2週間以内がもっとも感染力が強くなります。
この病気では、母親からの経胎盤移行抗体による免疫が期待できないため、乳児期早期から感染する危険性があります。
生後半年以内では発症し、死に至ることもありますが、日本では三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)の接種によりこの危険性は少ないです。
しかし、一回だけの感染やワクチン接種では免疫を確保できず、生涯有効な免疫獲得には複数回の感染や接種が必要になることもあります。
〔百日咳〕の潜伏期間は6~20日間で、普通には7日ほどです。
症状の発症は、約6週間続きますが、初期の「カタル期」、中期の「痙咳期」および「回復期」という三つの段階を経て発症し治癒・回復していきます。
〔百日咳〕は全世界的に発症していますが、多くは発展途上国の子供に発症します。
多くの国で三種混合ワクチンの接種がなされ発症数は減少しています。
日本での発症数は、ワクチン未接種の人を中心に毎年15,000~30,000人が羅患しています。
尚、百日咳菌は英語では「Bordetella pertussis」と呼ばれ、パラ百日咳菌は「Bordetella parapertussis」と呼ばれます。
カタル期 |
発症初期は、カタル期と呼ばれ、普通の風邪のような症状で始まります。この状態が約7~14日間続き、次第に咳の回数が増えるようになります。
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痙咳期 |
中期になると咳が次第に発作性痙攣性の咳(痙咳)となります。
短い咳がコンコンコンコンという風に連続的に起こるスタッカート状態が続き、息を吸い込むときにヒューという笛のような音が出ます。
このような重い咳発作が2~3週間続き、嘔吐することもあります。
咳発作は常時連続ではなく、非発作時には無症状ですが、何らかの刺激が加わると激しい発作が誘発されるパターンを辿ります。
咳発作は夜間に発症しやすく、1日当たり15回程度起こります。
発熱することはほとんどありませんが、咳をするとき息を詰めるので顔面の静脈血圧が上がり、次のような症状などを生じ、尿失禁、肋骨骨折、失神することもあります。
・無呼吸
・顔面紅潮・眼瞼浮腫の百日咳顔貌
・チアノーゼ
・点状出血
・眼球結膜出血
・鼻出血
特に、生後6か月前の乳児では、咳による呼吸困難で肺炎や脳症を起こすこともあります。
発作により体力を激しく消耗し、著しい不眠や脱水、栄養不良などとなり入院治療が必要となる場合もあります。
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回復期 |
中期の痙咳期を過ぎると、激しい咳発作は次第に治まり、忘れた頃に時々発作的な咳が出るような状態になります。
完全に症状が治まり治癒するまでには2~3か月は掛かります。
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