バイコマイシン耐性腸球菌とは、バイコマイシン(VCM)に耐性を獲得した腸球菌をいいます。
バイコマイシン耐性腸球菌も、生物学的な特徴は普通の腸球菌と違いは無く、健常者であれば、感染症を引き起こすことはなく、VREを保菌していても通常は無害、無症状です。
しかし、高齢患者をはじめ手術後の患者、がん患者、臓器移植患者、白血球減少患者、透析患者、および糖尿病などの基礎疾患を持ち体力の衰えている人など、感染防御機能が低下している人では、腹膜炎や術創感染症、肺炎、敗血症などの感染症を引き起こすことがあります。
特に、体力の低下した患者の集中する病院などでは、VREによる院内感染の可能性が指摘されています。
〔バンコマイシン耐性腸球菌感染症〕は、健常者では発症することはありません。
しかし、体力が衰え免疫力が低下している人が感染すると、患部の発赤などの炎症、発熱など一般的な細菌感染症の症状を呈します。また、腹膜炎、尿路炎、心内膜炎、肺血症、髄膜炎、胆道感染症、敗血症などを起こすようになります。
ときに、発熱やショックなど重篤な状態となり死に至ることもあります。
このような症状を呈する患者では、MRSAや緑膿菌、大腸菌などの強力な病原性を有する細菌類の同時混合感染を起こしていることも多く、それらの菌類による症状が前面に現れることも多いとされています。
日本国内では、菌に汚染された輸入鶏肉の摂取による感染が報告されています。VREは70度C、1分の加熱で死滅するので、鶏肉は十分に加熱調理する必要があります。
2002年、北九州市内の病院で死者18人を含む35人の感染がみつかっております。
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