この細菌は、種々の抗生物質が効かなくなる多耐性の黄色ブドウ球菌で、感染症としては、次のものなどがあります。
・〔肺炎〕
・〔敗血症〕
・〔腸炎〕
・〔髄膜炎〕
・〔胆管炎〕
〔メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症〕は、薬剤耐性菌による病気であるため、抗生物質など多くの薬剤を常に使用する病院で発見されることが多く、入院中の患者などへの院内感染の原因となることが多い病気です。
病院内に入院中の患者の中で免疫力が低下した人に日和見的に感染することが多く見られます。
院内感染で一旦発症すると、耐薬品性により抗生物質が効かないために治療はとても困難となります。治癒しても後遺症が残ったり、しばしば死にいたることもあります。
「抗菌薬使用のガイドライン」では、MRSAに有効な医薬としてバンコマイシン、アルベカシンを第一選択薬として推奨されています。
これらの医薬で効果がない場合、テイコプラニンやリネゾリドが推奨されていますが、これらを多用すると今度はその医薬に耐性を持つ菌が出現するので、使用には十分な注意が必要となります。
バンコマイシン |
バンコマイシンは、グリコペプチド系抗生物質のひとつです。
大部分のグラム陽性菌に殺菌作用をもち、腸球菌に対しては静菌作用がある。
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アルベカシン |
アルベカシンは、アミノグリコシド系抗生物質です。
MRSAに対して強い抗菌力を発揮し、MRSAによる敗血症、肺炎に対して有効です。
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テイコプラニン |
テイコプラニンは、バンコマイシンと同様のグルコペプチド系抗生物質で、MRSA感染症の治療薬です。
MRSAのうち、本剤感受性菌による敗血症、皮下膿瘍、膿皮症、手術創の表在性二次感染、慢性気管支炎、肺炎、膿胸に有効です。
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リネゾリド |
リネゾリドは、バンコマイシンに対して薬剤耐性を獲得したバンコマイシン耐性腸球菌、および黄色ブドウ球菌に有効な抗生物質のひとつです。
リネゾリドは、バンコマイシン耐性菌(VRE)による肺炎、菌血症、腹腔内感染症、髄膜炎に有意な効果がありますが、腸球菌性感染性心内膜炎に対しては効果を証明できていません。
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