肝臓以外でも、肺に感染すれば咳や血痰、胸痛、発熱などの肺結核類似の症状をきたします。肝臓や肺以外にも脳や心臓、骨などに寄生することもあります。
体内で嚢胞が破れると包虫が散布されて至るところに転移することもあり、内容物が漏れ出すと重篤なアナフィラキシーショックを引き起こします。
〔エキノコックス炎〕は、主に肝臓の病気とされていますので、肝機能障害にともなう疲れやすさ、右わき腹の痛み、黄疸等の症状を現します。
進行は極めて緩慢で、病期は一般に3つの期に分けることができます。
〔エキノコックス症〕の感染からの進行段階は、「感染」、「第一期(潜伏期間)」、「第二期(発症段階)」および「第三期(肝機能障害顕在化)」の4つに分けられます。
尚、発症後、治療せずに放置した場合の五年後生存率は、30%といわれています。
感染 |
体内に侵入すると、まず幼虫になり、そのまま肝臓に寄生します。
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第一期 (潜伏期) |
この段階は潜伏期間であり幼虫の発育は遅く、自覚症状が現れるまで数年~十数年かかります。その間の肝機能は正常域です。
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第二期 (発症期) |
肝腫大に伴う上腹部の膨満・不快感などの不定症状がでできます。
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第三期 (肝機能障害健在期) |
肝機能障害が起こり、腹部症状の増強、発熱、黄疸などが現れます。治療しないで放置すると、約半年で黄疸、腹水、浮腫を合併し死に至ります。
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