類鼻疽菌のヒトへの主な侵入感染経路は、皮膚の傷や経気道感染、汚染された食肉の経口感染などですが、感染動物との接触でも感染します。
ヒトからヒトへは感染は極めて稀であるとされています。土や泥に接する機会の多い職業の従事者が類鼻疽に罹患するリスクは高くなります。
〔類鼻疽〕の潜伏期間は、通常10~14日間ですが、数年におよぶ場合も知られています。
ヒトでは、健常者でも感染しますが、多くの場合に糖尿病、腎不全などの基礎疾患を持つ人が感染します。
ヒトが感染した場合には、ほとんど何の症状も出ない場合から、重度な敗血症を起こして1~2日で死に至るような場合まで、症状は多様です。
急性の敗血症にならなければ致死率は10%満ですが、敗血症になった場合の致死率は90%にもなります。
また、ヒトの〔類鼻疽〕では、初回の感染から何年もたってから再発する場合があります。
この病気は、特に免疫力が弱まっているHIV感染者や糖尿病患者などに感染しやすい病気です。現在まで日本での発生報告はありませんが、将来、海外から流入する可能性はあります。
また、〔類鼻疽〕も〔鼻疽〕同様にバイオテロに用いられる可能性が指摘されています。
〔類鼻疽〕の症状には、次に示すようないくつかの病型があります。
皮膚症状型 |
皮膚に急性化膿性結節や膿瘍ができ、リンパ管炎やリンパ節腫脹を伴いながら、発熱、倦怠感を示します。その後、急速に敗血症へと進行します。
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肺症状型 |
肺での急性感染では、軽度な気管支炎から、生命の危険に至るような重度な肺炎まで多様な症状を示します。多臓器に腫瘍を形成します。
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敗血症型 |
敗血症型感染では、突然の39度C前後の発熱、悪寒、発汗、筋肉痛、胸膜性の胸痛、壊死を起こす病変、肝臓や脾臓の腫れ、丘疹や小膿疱、下痢などの症状がでます。
急性肺疾患から、菌血症、敗血症へと進行し、治療なしでは命にかかわります。
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