上咽頭がん
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〔上咽頭がん〕は、咽頭の最上部、鼻腔の後方にできる悪性腫瘍で、好発年齢は40~60歳代です。発生原因には「EBウイルス」の感染が関与しているとされます。
このがんの組織型は、未分化がんや低分化扁平上皮がんが多い傾向にあります。リンパ節や遠隔転移しやすい特徴があり、注意が必要です。
上咽頭部は、手術が困難ですが、化学療法や放射線療法が効果を発揮しやすい性質があり、通常は化学療法や放射線療法で治療が行われます。
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中咽頭がん
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上図でも分かるように、中咽頭は口腔うより後方の部位をいいます。ここに出来る悪性腫瘍には、「上壁型」や「前壁型」「側壁型」および「後壁型」があります。下咽頭や食道との重複がんの可能性も高いです。
〔中咽頭がん〕の重要な発生原因は、重度の喫煙や飲酒の二つです。また、ヒトパピローマウィルス(HPV)感染の関与もあるとされています。
中咽頭のどの部位にがんが発生したかにより、治療法は異なります。がんの組織型に合わせて、手術療法や化学療法、放射線療法が使用されます。
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下咽頭がん
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〔下咽頭がん〕は、喉頭蓋より後方部位にできる悪性腫瘍で、「梨状陥凹型」や「後壁型」「輪状後部型」に分類されます。
このがんの重要な発生因子は、重度の喫煙や飲酒です。中咽頭や食道との重複がんの頻度が高い特徴があります。
このがんは、初期の頃には無症状なため、早期発見が困難であり、多くの場合、発見時にはかなり進行したがんになっています。また、遠隔転移しやすい特徴もあり、頚部がんの中では最も予後不良です。
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喉頭がん
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〔喉頭がん〕には、声帯にできる〔声門がん〕、声帯より上部にできる〔声門上がん〕、声帯の下部にできる〔声門下がん〕があります。
〔声帯がん〕の主要な原因は喫煙で、〔声門上がん〕では、喫煙に加えて飲酒が発生原因となります。
〔声門がん〕では、初期の段階から「嗄声」の症状が出てくるので早期発見が可能ですが、〔声門上がん〕や〔声門下がん〕では、さしたる自覚症状が出ないために、発見された段階では、かなり進行していることが多いです。
治療は、がんの治療だけでなく、音声機能を保存することを考慮して行われます。
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