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[ Physical Illness ]

* Illness of Collagen Disease *
Systemic Scleroderma


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 〔全身性強皮症(SSC)〕は、〔全身性硬化症〕とか〔全身性進行性硬化症〕とも呼ばれる膠原病のひとつで、特徴的な症状として皮膚が次第に硬化していく病気です。

 現実には、硬化するのは皮膚表面だけでなく、腸や心臓、肺、腎臓などの内臓でも同様な硬化が見られるために、〔全身性強皮症〕とか〔全身性硬化症〕と呼ばれています。

 原因はいろいろ推定されていますが、よく分かっていません。

 〔全身性強皮症〕は、古典的な五大膠原病のひとつで、厚生省の「特定疾患」に記載されています。



 〔全身性強皮症〕の発症原因は明らかでないものの、症状としては皮膚の繊維の増加が原因で、長時間を掛けて皮膚が硬くこわばったり、萎縮することから、膠原繊維の代謝異常などが疑われています。同時に、血管障害や免疫異常、環境因子が発病に関与していると考えられています。

 〔全身性強皮症〕の症状は、皮膚の硬化にとどまらず、手の指の冷感、息切れ、関節痛、体重減少などがあるほか、肺や心臓、腎臓、食道、小腸、大腸などの内臓にも硬くなる病変がおよびます。食道に病変がおよぶと、物を飲み込みにくくなる「嚥下障害」を引き起こします。

 この病気の日本での患者数は一万人弱と推定され、男女比では女性が圧倒的に多く、男性の10倍近くの率で発症します。


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Overview

[ A disease called Systemic Scleroderma ]

What kind of illness is it?

 全身性強皮症(SSC:Systemic scleroderma)は、膠原病のひとつで、皮膚が次第に硬化していく病気です。硬化が起こるのは、身体表面の皮膚だけでなく、腸や心臓、肺、腎臓などの内臓表面でも起こります。この病気は、全身性硬化症や全身性進行性硬化症とも呼ばれています。


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Symptom

[ Symptom of Systemic Scleroderma ]

Typical symptoms

 全身性強皮症は長い年月を掛けて、主に皮膚に症状が現れてくる膠原病の病気ですが、先ず、皮膚などへの症状の現れ方は次のような四段階を経て最終的な強皮・硬化状態へとなっていきます。

皮膚症状の四段階

レイノー現象

 全身性強皮症の初発症状が出現する前の前駆段階として、多くの場合、レイノー現象がみられます。レイノー現象とは、寒さや精神的な緊張に晒されると、手の指が白くなり、やがて紫を経て赤に変色していく現象です。

 この現象は、全身性強皮症が発症する数年前から現れることがあります。また、手の指だけでなく足の指や耳たぶ、鼻にも起こることがあります。

むくみ期

 全身性強皮症の初発症状は、手の指がむくみ皮膚がパンパンに腫れて、こわばり、動かし難くなります。

硬化期

 皮膚の硬化が進行すると、皮膚は緊張してつっぱり、手足、股などの関節周囲の組織も硬くなり、曲げ伸ばしが困難となってきます。顔面の皮膚が硬化し、皮膚が膨らみ、しわもなくなってピカピカと光沢を持つようになります。

 顔は表情が乏しく、口の周辺には縦じまが出て口を大きく開くのが困難となります。色素沈着が起こり顔が黒ずんできたり、色素が抜けてまだらになる色素脱失の症状が現れます。

萎縮期

 皮膚の硬化がやわらぎ顔にはしわも見られるようになります。しかし、皮膚は薄くなり容易に傷つきやすくなってきます。


 全身性強皮症の症状は皮膚ばかりでなく、多くの内臓にも現れます。食道の働きがにぶくなり、逆流食道炎が起こることで物が飲み込みづらくなる嚥下症状がでてきます。胃腸の作用も悪くなり下痢や便秘を繰り返します。

 舌の裏側の舌小帯が硬く短くなる「舌小帯短縮」が起こり、舌を突き出しにくくなります。肺では症状の進展により「間質性肺炎」や「肺繊維症」などが起こり、呼吸困難などの現象が現れます。また、腎臓にも影響が現れてきます。


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cause

[ Cause of Systemic Scleroderma ]

Typical Causes

 全身性強皮症は、他の膠原病と同様に、免疫機構が自己抗体を作り出し、自分自身の細胞や組織に対して、攻撃してしまう病気です。しかし、どうして自己抗体ができるのか、その原因は分かっていません。

 真の原因は分からないながら、自己抗体産生の他に、繊維化細胞の活性化や血管障害が影響していることがわかっています。また、この病気の場合にも環境因子が関係していることは確かなようです。


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Diagnosis

[ Diagnosis of Systemic Scleroderma ]

Typical diagnostic method

全身性強皮症の診断方針

 全身性強皮症の検査では、主に皮膚生検と血液検査、および内臓の機能障害を調べる検査が行われます。また、診断方法には、アメリカリウマチ学会が作成した診断基準が極めて有用で信頼すべきものとして使用されます。

 下記の表で示すこの基準では、2項目の中で項目1を満たし、項目2の中の二つ以上を満たすと、全身性強皮症と診断されます。

アメリカリウマチ学会による全身性強皮症診断基準

1

 手や足の皮膚から、顔面や体幹に近いところの皮膚に硬化がみられる。

2

(1)手や足の指の皮膚が薄くなる。
(2)指先に潰瘍や小さな窪みを伴う瘢痕がある。指の腹が萎縮する。
(3)肺繊維症がみられる。


 皮膚生検は、前腕の外側の皮膚を採取し顕微鏡で調べます。表皮の萎縮や真皮の下の組織に膠原繊維の増生がみられれるのがこの病気の特徴です。血液検査では、血液中のリウマトイド因子や抗核抗体の検査などを行います。

 内臓の検査としては、X線検査や心電図、超音波、CTスキャンなどで臓器の状態を詳細に観察します。


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treatment

[ Treatment of Systemic Scleroderma ]

全身性強皮症の治療方針

 全身性強皮症には、現在のところ病状を完全に治療できる薬はありません。従って、症状の改善に有効と思われる治療薬により対症療法を行い、同時に内臓の繊維化を防止する薬剤を使用することが治療の目標となります。

 以下に全身性強皮症の治療の概要を記しますが、主な治療法は、発症部位や症状に対応した医薬療法となります。

 皮膚が強皮化することで指先などに生じる障害を防止・緩和するために、温熱療法や運動療法も効果があります。また、日常生活では、皮膚を傷つけたりしないように注意したり、寒気に触れないように注意を払うことが重要です。

全身性強皮症の薬物療法

 発症部位や症状に応じて、次のような治療が行われます。

全身性強皮症の薬物療法

皮膚のむくみの治療

 皮膚のむくみの治療にはステロイド薬を用います。

皮膚の硬化の治療

 膠原繊維の増加や蓄積を抑制する働きのある抗リウマチ薬として、D-ペニシラミンやコルヒチンを使用します。

間質性肺炎の治療

 間質性肺炎や筋肉の炎症を抑制するためにステロイド薬を用います。

関節痛・筋肉痛の治療

 関節痛や筋肉痛にたいしては、非ステロイド抗炎症薬で対処します。

レイノー現象の治療

 レイノー現象が現れたり、指先の潰瘍や壊疽が起こる原因は、血管障害により血液の流れが悪くなるからなので、血管拡張薬や血液凝固を抑制する抗血小板薬、抗凝固薬などを用います。

内臓障害の治療

 検査により内臓障害が発症していると分かった場合、それぞれの症状を改善する可能性のある薬による治療を行います。