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 多発性筋炎・皮膚筋炎の検査では、主に血液検査と筋電図による検査とが行われます。診断方法には、いくつかの基準がありますが、1992年に厚生労働省自己免疫疾患調査研究班が提示した診断基準や、1977年に提示されたボアンとピーターの診断基準が信頼できるものとして用いられます。
  
     
    
    
    
    
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皮膚症状 
(1)ヘリオトロープ疹:両側または片側の目瞼部の紫紅色浮腫性紅斑 
(2)ゴッドロン徴候:手指関節背面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑 
(3)四肢伸側の紅斑:肘、膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色紅斑 
       
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上肢または下肢の近位筋の筋力低下
       
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筋肉の自発痛または把握痛
       
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血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼまたはアルドラーゼ)の上昇
       
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筋電図の筋原性変化
       
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骨破壊を伴わない関節炎または関節痛
       
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全身性炎症所見(発熱、CRP上昇、 または血沈促進)
       
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抗Jo-1抗体陽性
       
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筋生検で筋炎の病理的所見:筋線維の変性および細胞浸潤
       
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 上記に示す厚生労働省自己免疫疾患調査研究班が提示した診断基準では、多発性筋炎、皮膚筋炎に対応して次の通り診断判定します。
  
     
    
    
    
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       厚生労働省の診断基準による多発性筋炎・皮膚筋炎の診断判定方法 
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       多発性筋炎 
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診断基準の項目2~項目9の中で4項目以上を満たすなら多発性筋炎と診断される。
       
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       皮膚筋炎 
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診断基準の項目1の皮膚症状のなかで(1)~(3)の1項目以上を満たし、かつ経過中に項目2~項目9の中で4項目以上を満たすと、多発性筋炎と診断します。
       
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       1 
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       対称性近位筋の筋力低下 
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       筋生検による筋炎の存在確認 
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       血中筋酵素の上昇 
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       4 
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       筋原性の筋電図変化 
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       皮膚筋炎の典型的皮疹 
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 この表で示す、ボアンとピーターの診断基準では、皮膚筋炎の診断には項目5は必須項目であり、その上で、項目1~4のうちで1項目が認められるなら「この病気の可能性あり」、2項目が該当するなら「この病気の疑いが強い」となり、3~4項目が該当するなら、多発性筋炎・皮膚筋炎と確定されます。
  
 多発性筋炎・皮膚筋炎では、筋肉が侵されることから、筋の異常を調べる検査が主体に行われますが、他の膠原病同様に自己抗体の検査も行われます。また、具体的な検査方法としては、血液検査と筋電図、筋生検などによって行われ、筋力の低下や皮膚に現れる発疹などの特徴的症状によって、診断されます。次の表で検査の概要を説明します。
  
     
    
    
    
    
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       血液検査 
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 赤血球沈降速度(赤沈)の亢進やCRP陽性があれば筋肉の炎症を示す証拠となります。筋炎が起こると筋肉中の酵素が血液中に流出するので、この筋原生酵素の上昇が見られれるなら、筋炎の証拠となります。筋原生酵素には、AST(GOT)、LDH、クレアチン、クレアチンキナーゼ、アルドラーゼなどがあります。
  
       
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       筋電図・筋生検 
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 筋炎があれば筋肉の異常を示す特徴的な所見がみられます。異常があれば、その筋肉を採取して顕微鏡による筋生検を行います。筋繊維の破壊・壊死や炎症細胞組織への浸潤が確認されるなら、多発性筋炎・皮膚筋炎と診断されます。
  
       
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       自己抗体 
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 この病気に特有な抗体として、抗Jo-1抗体が出現するので、この抗体が陽性なら多発性筋炎・皮膚筋炎と診断されます。
  
       
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       画像検査 
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 画像解析技術の進歩により、MRIやPET、CTスキャンなどでの検査が行われることがあります。このような画像検査で筋肉の病変をみることができます。画像解析技術を使用すると、この病気の診断ばかりでなく、治療効果の評価についても有用な情報が得られます。
  
      
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