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[ Physical Illness ]

* Illness of Allergy *
Inspection & Diagnosis of Allergy


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 人体には、外部から侵入する食品や細菌、ウイルスなどの異物に対して抗体を作り、生体を防御する免疫反応機構があります。

 侵入物が食料などで生体にとって有益であるなら何事も起こさないで、もし異物が生体にとって有害ならこれを撃退する機能です。

 しかし、本来なら生体に無害であるべき侵入物に対して、免疫機構が異物が外敵であると勘違いして、自分自身を攻撃してしまうのがアレルギー反応です。



 アレルギー反応の症状を重大な状態にならないようにするためには、アレルギーをどのように検査し、診断するのかを知っておくことも有用です。

 アレルギー疾患かも知れないという症状が起こる場合には、先ずそれが本当にアレルギーによるものかどうかを診断する必要があります。もしも、確かにアレルギー症状であるなら、その原因であるアレルゲン(抗原)が何であるかを解明することが必要です。

 アレルギーを診断するための検査では、「問診・診察」「アレルゲン検出」を行います。これらの検査の詳細は後ほど述べますが、項目的には次のようになります。


アレルゲンの検出法

皮膚での検査

想定されるアレルゲンを皮膚に付けて反応観察

血液検査

血液を採取し特異的IgE抗体などを調査

誘発試験

アレルゲン確定のための検査


アレルギーの原因物質、アレルゲンの検出法 ◆アレルギーの原因物質、アレルゲンの検出法について、ご説明します。

アレルゲン検出法

 アレルギーを診断し治療を行うためには、原因となっているアレルゲン(抗原)が何であるかを突き止めなくてはなりません。検査方法には「皮膚での検査」「血液検査」および「誘発試験」とがあります。

 アレルゲンを突き止めるために行われるのは、通常は皮膚検査としての「皮内テスト」「ブリックテスト」「パッチテスト」と血液検査です。

 誘発試験にも「吸入誘発試験」や「薬物負荷試験」がありますが、危険があるため、特別な場合以外は使用されません。

皮膚での検査

 皮膚試験はアレルギーがI型アレルギー反応によるものである場合の、アレルゲン(抗原)の確認のために行われる、アレルゲンのスクリーニング試験です。スクリーニング方法には「プリックテスト」「スクラッチテスト」および「パッチテスト」の三つがあります。

 皮膚試験では、抗ヒスタミン薬などのアレルギー治療薬などの影響を受けるので、試験の12時間以上前に、その使用を中止しておく必要があります。

皮膚での検査方法

プリックテスト

 「プリックテスト」は「スクラッチテスト」とも呼ばれる試験法です。テスト開始前に、候補となるアレルゲンとして「ダニ」「ハウスダスト」「卵」「杉花粉」などを溶かした液体(抗原液)を用意します。

 前腕屈側の皮膚をアルコール綿で清拭し乾燥後に、皮膚の複数の箇所にわずかに血液がにじむ程度に注射針や木綿針などを刺してから、準備しておいたアレルゲンを含んだ抗原液をそれぞれの場所に1滴ずつ滴下します。1~2分したら、脱脂綿で抗原液を混ざらないようにして吸い取ります。

 15~20分後に、抗原液を滴下した場所ごとに、反応の強さ、膨疹や発赤の大きさを測定します。特定のアレルゲンの抗原液を滴下した場所での発赤や膨疹の大きさなどから、どのアレルゲンが原因となっているか判定します。

 通常、発赤で15mm以上の場合や、膨疹で4~7mm以上の場合に、そのアレルゲンに対して陽性と判定されます。

 この方法は、次に示す「皮内テスト」より感度は劣るものの、簡便であることと、テスト自体によるショックなどの全身症状を起こす危険も少ないのが特徴です。

皮内テスト

 原因物質として疑われたアレルゲンがプリックテストの結果で陰性、あるいは疑陽性でありアレルゲンの特定ができなかった場合に、行われるのが「皮内テスト」です。

 「プリックテスト」の場合と同様に、テスト開始前に、候補となるアレルゲンとして「ダニ」「ハウスダスト」「卵」「杉花粉」などを溶かした液体(抗原液)を用意します。

 前腕屈側の皮膚の複数の箇所に、それぞれのアレルゲンを含んだごく微量の抗原液(0.02ml程度)を皮内注射します。

 15~20分後に、膨疹や発赤の大きさを測定します。特定のアレルゲンの抗原液を注射した場所での発赤や膨疹の大きさなどから、どのアレルゲンが原因となっているか判定します。

 通常、発赤で20mm以上の場合や、膨疹で9mm以上の場合に、そのアレルゲンに対して陽性と判定されます。

 皮内テスト法は、プリックテスト法に比べて百倍以上、時には一万倍以上の感度があり、アレルゲンの検出能力が高い方法ですが、一方で、全身性アナフィラキシー反応を誘発する危険もあるので注意が必要です。

パッチテスト

 パッチテストは、本来「接触性皮膚炎」の原因を同定するための検査方法ですが、薬疹における原因薬物の検査方法としても有用なことがあります。

 接触性アレルギーでは、皮膚炎の発症している部位だけでなく、全身の皮膚が感作されているので、何も症状のない皮膚で、人工的にアレルギー性皮膚炎を再現させることで、接触性皮膚炎を起こしている原因物質を突き止めることができます。

 試験専用の絆創膏に、金、パラジウム、コバルト、クロムなどの金属試薬などパッチテスト用試薬を滴下したり、塗布したものを、背部皮膚などに貼り付けます。

 2~3日後に、国際接触皮膚炎研究班による判定基準などで判定します。何も反応がでていなければ「陰性」、絆創膏の試薬部分に紅斑や浮腫、水疱が出ている状態により「+」「++」「+++」などと判定します。


血液検査

 血液検査によるアレルゲンの特定方法では、患者からは採血のみを行う方法なので、検査による危険性は全くありません。症状がひどい患者や乳幼児などでも利用することができる優れた方法です。

 方法としては、「特異的IgE抗体試験管内測定法」や「リンパ球刺激試験」などの方法があります。血液中のアレルギーに関係する白血球(好酸球数)、免疫グロブリンIgE抗体総量、特定の抗原に対する特異的IgE抗体量などを調べることができます。

血液検査法

特異的IgE抗体試験管内測定法

 特異的IgE抗体試験管内測定法は、試験管内で、アレルゲンに対する特異的IgE抗体を検出する方法で、I型アレルギー反応におけるアレルゲンの確定に使用されます。

 この方法には、「RAST法」「CAP RAST法」「MAST法」「A1aSTAT法」「LUMIWARD法」「QAS法」「FAST法」など多くの方法があります。

リンパ球刺激試験

 リンパ球刺激試験は、薬物アレルギーなどの原因を調べる方法です。薬物アレルギー患者などの血液から、単核球を取り出し、食物から取り出した抗原とともに培養し、抗原によって活性化されるTリンパ球が存在することを確認します。

 リンパ球の増殖率で検出する方法であり、抗原を作用させない状態を100%として、培養後に何%増加するかを調べます。181%以上で陽性と判定します。かくれ型(遅延型)アレルギーの反応です。


誘発試験

 誘発試験は、アレルギー疾患を引き起こしているアレルゲン(抗原)の確定をするために行う検査です。誘発試験は、主に発症しているアレルギー症状の発症部位などにより、いくつかの方法があります。

 具体的な検査方法としては「鼻誘発試験」「目誘発試験」「食物負荷試験(食餌誘発試験)」「吸入誘発試験」「薬物負荷試験」などがあります。

 誘発試験では、少なからず身体内にアレルゲン(抗原)となる物質を侵入させることになるので、患者にとって負担がかかり、また場合によってはアナフィラキシーショックを誘起する可能性もあるので慎重に行わなければなりません。

誘発試験の方法

鼻粘膜誘発試験

 鼻粘膜誘発試験は単に「鼻誘発試験」ともいわれる試験で、原因と思われるアレルゲンエキスを浸み込ませ乾燥した濾紙を、鼻粘膜に接触させて行うことで、鼻アレルギーの原因となるアレルゲンを調べる検査方法です。

 濾紙の接触後、5分間の経過を観察し、「鼻内の痒み(くしゃみ)」「鼻汁分泌の増加」「鼻粘膜の腫脹」の内の二項目以上があるなら、陽性と判定され、そのアレルゲンエキスが鼻アレルギーの原因物質であると診断されます。

目粘膜誘発試験

 目粘膜誘発試験は単に「目誘発試験」ともいわれる試験で、原因と思われるアレルゲンエキスを、一方の目に点眼することで、目粘膜アレルギーの原因となるアレルゲンを調べる検査方法です。

 点眼後、5~10分間の経過を観察し、「目の痒み」「粘膜充血」「腫脹」が認められるなら陽性と判定されます。この方法は、主に「アレルギー性結膜炎」の原因アレルゲンを調べるときに使われます。

食物負荷試験

 食物負荷試験は、「食餌誘発試験」とも呼ばれる試験ですが、現段階では標準化された方法は存在しません。この方法では、原因アレルゲンと考えられる食物の少量を現実に摂取して、アレルギー症状が出現するかどうかをみて判定します。

 アレルギーにはアレルゲンを摂取するとすぐアレルギーが発症する「即時型アレルギー」と、時差があって一定時間経過後に発症する「非即時型アレルギー」とがあります。食物負荷試験では、即時型アレルギーを引き起こす原因アレルゲンの確認は比較的速やかに可能ですが、非即時型アレルギーについては困難です。

 この方法では、現実にアレルギーが発症してしまうだけでなく、時にはアナフィラキシーショックを誘起してしまう可能性もあります。また、ショックを引き起こさないまでも、喘息発作を起こしたり、長期にわたって体調が不調になったりすることもあります。特に乳幼児などにとってはとても負担の大きい試験方法です。

 たとえば、「イクラ」を食べると唇が腫れたりする幼児には、「数の子」や「キャビア」などを与えない、少なくとも幼児期には与えない、というような「除去食(療法)」に気を配ることが大切です。食餌負荷試験で、アレルギー症状が軽くなるというような、不適切な報道が行われることがあるので注意が必要です。

 このように、食物負荷試験による原因アレルゲンの確認は、非常に危険を伴う方法ですので、決してお奨めはできません。少なくとも成長期には試してみない方が懸命です。

吸入誘発試験

 吸入誘発試験は、ネブライザーという吸入器具を用いて、主にアトピー性喘息の原因として疑われるアレルゲン(抗原)の低濃度のエキスを吸入させ、喘息の症状が現れてくるかどうかなどを確認する検査方法です。

 アレルゲンエキスを低濃度から徐々に濃度を上げて吸入させ、気管支収縮が起きるかどうかをみます。吸入10分後に、思いっきり息を吸い込んでから1秒間に吐き出すことの出きる空気量(1秒量)を測定します。この1秒量が標準より20%低下するなら、その物質がアレルゲンであると確定されます。

 アレルギーには、即時型と遅発型(非即時型)とがあるので、この試験が継続できる状態なら、1時間ごとに6~10時間行います。

薬物負荷試験

 薬剤アレルギーの場合には、原因となる薬物アレルゲンを、皮膚反応で調べるのはとても困難です。そのため、原因と疑われる薬物とアレルギーとの関係を証明する唯一の決定的方法は、その疑わしい薬物のごく少量を経口負荷して反応を確かめる方法となります。

 その薬物が真の原因アレルゲンであると確定できるのは、誘発試験の結果が陽性となる場合だけとなります。

 この方法は原因物質の特定には決定的であっても、患者に苦痛と負担を与え、ひとつ間違えばアナフィラキシーショックを起こしたり、重篤なアレルギー症状を発症したりする危険が伴いますので、特殊な場合以外は実施されることはありません。

 病院などで、投薬や注射に際して、抗生物質やピリン系薬剤などでのアレルギー症状を経験したことがないかなど質問されるのは、人によってはそのような危険な反応が心配されるからです。