症状が重いものについては、初期の十分な輸液、薬物療法、経空腸的な栄養管理、選択的消化管除菌、腹腔洗浄、腹膜灌流、血液浄化法、壊死性膵炎における蛋白分解酵素阻害薬と抗菌薬の持続動注療法、内視鏡的治療あるいは外科的手術などを症状に応じて実施します。
    
    
    
    
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       初期の十分な輸液 
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 炎症による循環血漿量の低下を補充するために、症状が軽症であっても、十分な初期輸液を行います。
  
 重症例では血圧、中心静脈圧、ヘマトクリット、血清総蛋白濃度や時間尿量を指標にして、輸液量を決定し、循環動態の安定を確保します。
  
       
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       薬物療法 
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         鎮痛剤による疼痛対策 
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 精神的不安解消のためにも、早期より十分な除痛をおこないます。軽症~中等症では、塩酸ブプレノルフィンの静脈注射を持続的に行います。
  
         
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         抗菌剤の予防的投与 
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 軽症~中等症では不要ですが、重症の場合には、腸内細菌による感染症の合併は危険なので、イミペネムなどの抗菌剤を投与します。
  
         
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         重症例に対する蛋白分解酵素阻害剤の大量持続点滴療法         | 
       
         
 軽症~中等症では効果が期待できませんが、重症の場合は有用性が認められています。
  
         
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         軽症と中等症に対するヒスタミンH2受容体拮抗薬 
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 H2受容体拮抗薬の直接的な効果はないものの、急性胃粘膜病変や消化管出血合併例では投与することもあります。
  
         
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       経空腸的な栄養管理 
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 重症例では、早期から経空腸的な栄養管理の実施が、感染などの合併症が減少させる効果があります。
  
       
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       重症例での選択的消化管除菌 
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 重症急性膵炎の膵および膵周囲の感染症の予防するために、腸内細菌に有効な非吸収性抗菌薬を投与します。
  
       
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       腹腔洗浄、腹膜灌流 
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 腹腔内に貯まった毒性物質を洗浄液で洗い流すと重症膵炎が改善される可能性があります。
  
       
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       重症急性膵炎における血液浄化法 
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 血液中の悪い物資の除去や腎臓・心臓・肺などの多臓器不全への進行を防止する目的で、発症早期の持続的血液濾過透析が行われます。
  
       
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       壊死性膵炎における蛋白分解酵素阻害薬と抗菌薬の持続動注療法 
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 蛋白分解酵素阻害剤と抗菌薬を用いた持続動注療法は、重症膵炎の死亡率や感染合併率を改善できる可能性があります。
  
       
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       内視鏡的治療・外科的治療 
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 胆石が原因の急性膵炎は、内視鏡的治療あるいは外科的治療が必要となることがあります。
  
       
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       外科的手術 
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 発熱や炎症反応の悪化で膵局所の感染が疑われるなら、CTスキャンや超音波ガイドで監視しながら、穿刺吸引をして細菌の存在を調べます。感染性膵壊死が確認された場合は、膵壊死部摘出術などの外科的処置をします。
  
 手術後も、洗浄用のチューブを留置し持続的に洗浄します。
  
 重症膵炎から約4週間以降に膵臓付近に膿の貯留が認められる場合、外科的または皮膚を介して管を入れて、超音波で監視しながらドナレージ(排膿)を行います。
  
      
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