女性の性器クラミジア感染症は、感染初期には極めて軽度な症状しかなく、5人に1人くらいしか症状を感じません。症状は、わずかなおりものが出たり、濃い黄色や緑黄色のおりものが出たり、不正子宮出血や下腹部の痛み、性交痛みなどを感じることもありますが、気づかないことも多いです。また、感染が膣や子宮から尿道にも広がると膀胱炎と同様な症状を呈することもあります。
精液中に存在したクラミジアが子宮頚管から感染し、そのまま治療せず放置しておくと、1~3週間でクラミジアによる炎症は、まず「子宮頚管炎」となって発症します。炎症は、さらに子宮内膜、卵管、腹膜へと広がり、「子宮付属器炎」や「骨盤内炎症性疾患」を発症するようになります。
子宮頚管炎になると、静止の通過障害を引き起こすことになり、子宮粘膜炎が発症すると、精子の着床障害を引き起こします。卵管周囲の炎症で癒着を起こすと、卵管の詰まりや卵管狭窄などの、卵管障害を引き起こし、下に示すようなさまざまな症状の原因ともなります。
運よく妊娠し、出産までこぎつけても、切迫出産のために、低体重児が生まれることも多くなります。
感染が、さらに上腹部にまで拡大すると、「肝周囲炎」となり激しい腹痛を伴います。最初の感染から、子宮頚管炎、子宮内膜炎、卵管炎へと広がり、骨盤腹膜炎、肝周囲炎となるまでの時間は、早ければ1か月ほどしかかかりません。
妊婦が感染している場合には、産道感染により新生児へ母子感染がおこり、新生児が眼瞼結膜炎や中耳炎、重篤な新生児肺炎などを発症して、空咳がでて十分なミルクが飲めないなどの症状が起こります。最悪の場合には死に至ることもあります。
|