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(Bacillus cereus infection)


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 〔セレウス菌感染症〕は、現在は感染症法では指定されておりませんが、以前は四類感染症に指定されていた疾患であり、主に食中毒の形をとる感染性胃腸炎です。

 この疾患には、「下痢型食中毒」および「嘔吐型食中毒」との二つの種類があります。日本で発症したセレウス菌食中毒は主に嘔吐型です。



 セレウス感染症の原因病原体であるセレウス菌は、Bacillus属に属するグラム陽性大桿菌で芽胞を有する通性嫌気性菌です。

 この菌は、土壌や汚水など自然界に多く存在し、野菜や穀物などの農産物を汚染しています。また、10%ほどの健常者の腸管内にも常在菌として存在しています。セレウス菌は溶血毒をはじめ、いくつかの毒素を産生します。


 セレウス菌食中毒には、下痢型と嘔吐型がありますが、下痢型の潜伏時間は比較的長く5~16時間ほどです。

 一方の嘔吐型の潜伏期間は30分~6時間ほどです。この食中毒の主な症状は嘔吐、吐き気、下痢、腹痛です。いずれの場合も症状は軽症です。

セレウス菌感染症の症状
下痢型食中毒

 下痢型食中毒は、菌に汚染された飲食物を摂取することで、菌が腸管内で増殖し毒素を産生して起こる感染症です。生体内毒素型の食中毒で主症状は下痢で、24時間ほど続きます。

嘔吐型食中毒

 嘔吐型食中毒は、食品内で産生された毒素によって発症する食中毒で、主な症状は嘔吐や吐き気ですが、通常発熱はしません。症状は8~10時間ほど続きます。



 この食中毒は、毒素系食中毒のため、免疫は機能せず、毒素に汚染された食物を摂取すれば何度でも感染・発症します。毒素の量が増加してしまった食品は加熱しても食中毒を起こします。日本における、セレウス菌食中毒のほとんどは嘔吐型です。