オス成虫や未交尾のメス成虫はトンネルは掘らず、角質層に潜り込んで寄生するだけですが、交尾の相手を求めて盛んに移動します。
通常、ヒゼンダニの感染は肌を接することで起こるので〔性的接触感染症〕と呼ばれることもありますが、最近では寝たきり老人などでの感染も多くなっています。寝たきり老人の寝具や衣類、シーツなどに疥癬虫やその卵が付いていて、それを取り扱う看護師や介護にあたる家族などに感染が広がります。
交尾直後のメス成虫が未感染の人に感染すると、2週間から1か月の潜伏期間を経て発症します。1度治っても2回目以降に感染するとすぐに症状が出ることもあります。
皮膚に皮疹が出て強い痒みを生じます。痒みは特に夜ふとんに入って温まると強く感じられます。皮疹は腹部や腕、脚部に赤い小さな丘疹となって現れます。また、手足の末梢部に疥癬トンネルに沿って3~6mmほどの線状の皮疹、水疱ができます。
まれに、男性陰部に赤褐色のしこりとなって現れたり、女性の外陰部などに小豆大の結節となって現れることもあります。
皮疹を掻き毟ると、二次感染によって複雑な状態になってしまいます。ヒゼンダニはイヌやネコから感染することも多いので注意が必要です。
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